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扶養控除を活かしたサラリーマンの節税
●  年末調整の書類は申告書
  今年もあと1カ月となるが、そろそろ勤務先から年末調整書類を配布される時期である。今年の改正については、2140「年末調整、改正に伴う申告書の取扱いに注意」をご覧いただくとして、今回はサラリーマンでもできる扶養控除を活用した節税方法をご紹介する。
  まず、年末調整をするに当たっては、勤務先から「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」および「給与所得者の保険料控除申告書兼給与所得者の配偶者特別控除申告書」が配布される。これらの書類は、納税者本人からの申告書という位置付けとなるので、正しく記入する必要がある。
●  子どもは誰の扶養に入れるべきか?
  共働きの家庭の場合、子どもを夫の健康保険に入れているので、所得税においても夫の扶養に入れるものと思い込んでいる方もいらっしゃる。しかし、子どもを夫の健康保険に入れていても、所得税の扶養ついては、妻のほうに入れることができるのだ。
  子どもについては所得の高いほうの扶養に入れることで、世帯としての税金を抑えることができる。例えば、夫がリストラされ、今年の収入は失業手当が主だった場合は、子どもを妻の扶養に入れたほうが得となる場合もあろう。さらに、子どもが2人以上いる場合には、1人ずつ扶養に入れることも可能である。
●  親を扶養に入れることができるのか?
  生計を一にする親(年金などの合計所得金額が38万円以下に限る)についても、扶養とすることができる。「生計を一にする」とは、同じ財布で生活していることを意味する。同居はイメージしやすいが、たとえ別居していても、毎月生活費の一部として仕送りをしている場合も、生計を一にするに該当する。
  さらに、同居する親が70歳以上(昭和16年1月1日以前に生まれた人)の場合、同居老親等に該当し、扶養控除額は1人20万円アップするので、忘れずに申告書にチェックしていただきたい。
●  配偶者は103万を超えたら、扶養に入ることはできないのか?
  配偶者控除と配偶者特別控除があるが、以前は所得103万円以下の妻の場合は両方の対象となったが、現行は配偶者控除しか受けることができない。
  配偶者控除とは、合計所得金額が38万円以下(給与収入でいえば年間103万円以下)の人が対象となり、控除額は38万円となる。そして、配偶者特別控除とは、合計所得金額が38万円超76万円未満(給与収入でいえば年間103万円超141万円未満)の人が対象となり、控除額は所得に応じて3〜38万円となる。
  パート収入103万円を超えたら扶養に入れないと思い込みされている方もいらっしゃるが、配偶者特別控除があることを覚えておいてほしい。
(今村京子 マネーコンシェルジュ税理士法人)
2010.11.29
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