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「既卒者育成支援奨励金」創設で対象者一人当たり最大125万円
●  平成24年3月31日までの暫定措置
  厚生労働省はこのたび、成長分野等の中小企業事業主において、卒業後も就職活動中の新規学校卒業者等を正規雇用へ向けて長期的な育成を行うために、まずは有期雇用(原則6カ月)で雇用(その間、実習に加え、座学等(OFF-JT)を実施)し、その後、正規雇用に移行させた事業主に奨励金を支給することを発表した。
  この奨励金の正式名称は「既卒者育成支援奨励金」といい、平成24年3月31日までの暫定措置となっている。3年以内既卒者(新卒扱い)採用拡大奨励金や3年以内既卒者トライアル雇用奨励金などとともに既卒者向けの就職支援制度の1つであるが、育成計画書などを作成する点は大きな特徴でもあるので、詳細をよく把握する必要があるといえるだろう。
●  奨励金の対象は、成長分野等の中小企業事業主に限る
  この奨励金の大きな特徴は、成長分野等の中小企業事業主※1に限られるという点である。そもそものこの制度の趣旨が、今後、人材需要が見込まれる成長分野の中小企業と3年以内既卒者のマッチングを図り、長期的に人材を育成してもらうことが狙いである。
  主な奨励金の概要は、まず「育成計画書」および「既卒者育成雇用求人」をハローワークまたは新卒応援ハローワークに提出することからはじまる。
  その後ハローワークまたは新卒応援ハローワークからの紹介により、3年以内既卒者を原則6カ月間、有期雇用として雇い入れ、育成計画書に基づく座学等により育成した上で、その後に正規雇用で雇い入れた場合に、奨励金が支給される仕組みとなっている。
  ※1 詳細は、下記リンク参照のこと
●  対象者となる者および奨励金の額の詳細
  対象となる3年以内の既卒者とは、以下のいずれにも該当し、正規雇用の実現のためには既卒者育成雇用を経ることが必要であると公共職業安定所長が認める者。
  ○  平成20年3月以降の新規学卒者※2で、ハローワークまたは新卒応援ハローワークに求職登録を行っている者(平成22年度の新規学卒者については、卒業日の翌日以降に本制度を利用できる)
※2 中学校、高校、高専、大学(大学院、短大を含む)、専修学校等の新規学卒者が対象
  ○  卒業後安定した職業に就いた経験がない(1年以上継続して同一の事業主に正規雇用された経験がない)
  ○  雇入れ開始日現在の満年齢が40歳未満の者
  奨励金の支給額は次のとおりで、一人当たり最大125万円となっている。
  ○  有期雇用期間(原則6カ月)…対象者一人につき月額10万円(最大60万円)
  ○  有期雇用期間の座学等に要した経費(3カ月以内)…対象者一人につき月額上限5万円(最大15万円)
  ○  有期雇用終了後の正規雇用での雇い入れ…対象者一人につき50万円(正規雇用から3カ月経過後に支給)
   注  有期雇用終了後、対象者が正規雇用へ移行しなかった場合でも、原則として有期雇用期間は奨励金の支給対象となる。
(庄司 英尚 株式会社アイウェーブ代表取締役、
庄司社会保険労務士事務所代表、社会保険労務士)
2010.12.06
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