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平成23年から扶養控除減額で、3歳未満の子ども手当は増額に
  給付水準、所得制限、財源など、課題が山積の子ども手当だが、3歳未満の金額を7,000円増の2万円に増額する方針が示された。子ども手当の導入に伴って、子どもへの金銭面での支援体制に大きな変化があったが、全体像を確認してみよう。
●  子ども手当導入前は?
  子育てサポート資金として、小学校6年生までの子がいる家庭に、児童手当が支給されていた。児童手当は所得制限があるが、その基準額は少しずつ引き上げられていった。
  また、所得税や住民税を計算するときの所得控除として、扶養控除が認められており、控除額は学費がかさむ高校および大学生の年齢の子がいる期間は多めに設定されている。
    
<児童手当>
対象:  収入が所得制限以下で、小学生までの子どもを持つ養育者(父、母など)
金額:  0〜2歳(3歳未満)…1万円/月
3〜12歳になった後の3月末まで…5,000円/月
所得制限は、例えば扶養家族が2人(妻と子など)の場合、国民年金加入者は所得536万円、厚生年金加入者は所得608万円(給与収入で約817万円)
    
<扶養控除>
  所得税 住民税
0〜15歳             38万円             33万円
16〜22歳 65万円 45万円
●  子ども手当導入後は?
  民主党のマニフェスト実現により、児童手当がなくなり、子ども手当が導入された。金額の調整が必要なことなどから、現在のところ1年限りの時限立法で対応している。公立高校の学費無償化(私立高校は支援金給付)も行われている。一方、子ども手当や学費無償化の財源確保のため、子に対する扶養控除が縮小されている。具体的には、子ども手当が受け取れる15歳までは扶養控除額はゼロ、公立高校の学費相当額の支援がある16〜18歳の時期は控除額が減額となる。
    
<子ども手当>   2010年4月から
対象:  所得制限なし。中学生までの子どもを持つ養育者(父、母など)
金額:  0〜2歳(3歳未満)…1万3,000円/月 ⇒ 2011年度より2万円(未定)
3〜15歳になった後の3月末まで…1万3,000円/月
    
<扶養控除>   2011年分から
  所得税 住民税
0〜15歳             0万円             0万円
16〜18歳 38万円 33万円
19〜22歳 63万円 45万円
    
<公立高校の学費無償化>   2010年度〜
  公立高校の学費(年間約12万円)が無料に。私立高校では、就学支援金として、公立の学費とほぼ同額(所得に応じて約12万〜24万円)が、学校を通じて支給される。
  所得控除は課税される所得を減額する効果があるため、扶養控除がなくなると「控除額×税率」だけ税金が増えることになる。住民税率は所得にかかわらず10%、所得税率は所得に応じた累進課税だが、例えば、2歳の子が1人いて所得税率が10%の所得水準なら、扶養控除額がゼロになることで、7万1,000円税金額が増える(38万円×10%+33万円+10%)。
  多くのケースでは、子ども手当の支給で増税分はカバーされる。しかし、前述の事例のように子が3歳未満のケースでは、児童手当から子ども手当に代わったことで増えた金額は年3万6,000円(3,000円×12カ月分)にすぎないため、増税分の方が多くなってしまう。そこで、子ども手当の増額が検討されているわけだ。逆転現象が起きるケースをなくすためにも、財源の問題はあっても3歳未満の子ども手当は増額されることになるだろう。
(CFP® 山田 静江)
2010.12.13
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