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「胆のう炎」告知における留意点
●  胆のう炎とは
  胆のう炎とは、胆石症や細菌感染などが原因で起こる胆のうの炎症です。急性胆のう炎、慢性胆のう炎、無石胆のう炎、気腫性胆のう炎などがあります。胆のう腺筋症を発症した場合は胆のうがんとの区別がつきにくいため、胆のう摘出手術をすることが多いようです。
   急性胆のう炎
     一般に胆石による炎症から始まり、後になって感染が起こります。まれに胆石のない患者に急性胆のう炎が生じることがあります(無石胆のう炎)。小児にも、ウイルス感染などが原因となって生じることがあります。
   慢性胆のう炎
     急性の炎症が繰り返されることで胆のうが損傷を受けます。多くは胆石によるもので、胆のう壁が厚くなり、胆のうは瘢痕のために小さくなります。胆のうには胆石や胆砂(胆泥)が徐々にたまり、胆のうの出口や胆のう管をふさぎます。
   気腫性胆のう炎
     急性胆のう炎から胆のう壁の虚血や壊疽をきたし、ガス産生菌が感染して発症します。胆のう内腔のガス像、胆のう壁の輪状のガス像、胆のう周囲組織のガス像により診断されます。
●  原因と症状
  急性胆のう炎の約9割は、胆石が原因です。胆石が胆管に蓄積し、閉塞することによって炎症を起こします。その他の原因としては消化酵素を含む膵液の逆流などがあります。
  急性胆のう炎の初期症状は右上腹部の突然の激痛(胆のう発作)です。さらに、呼吸時の右肩甲骨の下部へ広がる痛みが約半日間続き、吐き気や嘔吐、38℃近い発熱が起こります。高齢者は熱を出す確率は低いようです。2〜3時間のうちに腹部の右側の筋肉は硬くなります。多くの場合、この胆のう発作は2〜3日で治まり、1週間で完全消失します。症状が長く続く場合は、白血球上昇、胆のう壊疽、胆のう穿孔、黄疸、膵炎、イレウスなどの合併症を起こしている可能性が高く、その結果緊急手術となることもあります。
●  治療
  絶飲食のうえ電解質と水分を体に点滴し、抗生物質を投与します。無石胆のう炎や胆のうの壊疽、潰瘍、穿孔がある場合は胆のう摘出手術を行います。現在は、腹部に小さな穴を3〜4箇所開けて、腹腔鏡で患者の体内を確認しながら行う「腹腔鏡下胆のう摘出術」が主流です。開腹手術と比較して日常生活への復帰が早く、患者への負担も少ないのが利点です。胆のう炎の進行具合やその他の病状によっては、腹腔鏡下手術が行えないこともあります。また事前検査で腹腔鏡下胆のう摘出術を施せると診断されても、手術開始後に初めて判明する病状があるため、約5%の確率で手術中に開腹手術へ変更される可能性があります。
●  ご契約をいただく際には
  腹腔鏡下ではなく、開腹手術を行っている場合には、胆のうがん手術の可能性も考えられるため、生命保険・医療保険・がん保険についても加入は厳しくなります。お客さまが開腹手術をされたということであれば、診断名、入院期間、開腹手術の理由、医療機関名を記載した主治医の診断書を提出されるとよいでしょう。
(上田香十里 株式会社査定コンサルティング代表)
2010.12.20
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