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子ども手当の使い道 約4割は「子どものための貯蓄・保険料」
●  子ども手当の使途、上位3位までは子どもに関連するもの
  厚生労働省はこのたび「子ども手当の使途」に関する調査結果を発表した。調査結果によると、子ども手当の使い道としては、「子どもの将来のための貯蓄・保険料」が41.6%(以下、いずれも複数回答)で最も多く、「子どもの衣類・服飾雑貨費」が16.4%、「子どもの学校外教育費」が16.3%となった。
  調査は2010年8月から9月にかけ中学3年生以下の子どもを持つ保護者10,183人にインターネットを通じて実施したものである。子ども手当については、その財源だけでなくさまざまな制度面での問題もあり、一部からは反発の声もあるが今年6月から支給が開始されている。今回の調査結果は、政府だけではなく、子ども関連の事業を行っている各企業においても大変参考になるデータとなるのではないだろうか。
●  子どもが中学生の場合、学校外教育費が約3割
  子ども手当の使途として、上記以外には「家庭の日常生活費」13.8%、「子どもの学校教育費」8.9%、「子どもの学校外活動費」8.3%、「子どもの生活用品費」7.6%という結果が出ているが、一方で子ども手当の「使い道をまだ決めていない」という回答も11.5%あった。
  次に、世帯内の最年長の子どもが小学生以下に限ってみてみると「貯蓄・保険料」という回答が最も多く、0〜3歳では55.2%、4〜6歳では46.3%となっている一方で、世帯内の最年長が中学生の家庭になると「学校外教育費」30.8%、「貯蓄・保険料」27.2%となり、学齢が上がるにつれ教育関係費の使途が多くなっていることが読み取れる。
  子ども手当の使途について、子どものため以外の回答を選んだ人のうち、最も多かった理由(複数回答)は「家計に余裕がない」が64.2%、次いで「家族の将来を考えて貯蓄しておく必要があるため」が27.8%、「使い道は自由だと考えるため」19.7%、「子育てをしている者がリフレッシュに使うため」2.3%と各家庭の生活水準や価値観もさまざまなことから、全家庭に政府の思うとおりの理想的な使い方をしてもらうのは難しいという一面も明らかになった。
●  世帯年収が低いほど「子どもの衣類・服飾雑貨費」「家庭の日常生活費」の占める割合が高い
  次に子ども手当の使途を世帯年収階級別にみると、世帯年収階級が低いほど「子どもの衣類・服飾雑貨費」「家庭の日常生活費」の占める割合が高い。一方、「使い道をまだ決めていない」のは、世帯年収300万円未満では8.6%、1,000万円以上では17.0%であり、その差は8.4ポイントとかなり大きくなっている。
  また、一人親世帯では、「子どもの衣類・服飾雑貨費」「家庭の日常生活費」「家族の遊興費」「子どもの学校教育費」「子どもの学校外教育費」の占める割合が高いことが明らかとなった。
  「子ども手当」は、子育てを未来への投資として、次代を担う子どもの健やかな育ちを社会全体で支援するという観点から実施するものである。現在、子ども手当上積みについては、財源をどうするかというところで議論されている途中ではあるが、いずれにしてもそもそもの子ども手当支給の理念を忘れずに、最終的な決定をしてもらいたいところである。
  参考:厚生労働省 http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000000xf8c.html
(庄司 英尚 株式会社アイウェーブ代表取締役、
庄司社会保険労務士事務所代表、社会保険労務士)
2010.12.20
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