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法人税率12年ぶりの引き下げ
●  法人実効税率5%引き下げ
  平成23年度税制改正大綱における大きな目玉は、やはり法人実効税率の引き下げであろう。
  わが国の立地競争力を高め、中核的製造拠点や研究開発拠点の海外流出を抑制し、対内直接投資を促進するため、国際的に見て高すぎる法人実効税率を主要国並みにすべく、法人実効税率を5%引き下げる。これにより、わが国経済のデフレ脱却と雇用促進を図るというものである。
  現行の法人税率は30%で地方法人2税を含めた法人実効税率は40.7%となっている。これを、法人税率を4.5%下げて25.5%とし、地方法人2税を含めた法人実効税率を35.6%とし、平成23年4月1日から平成26年3月31日の間に開始する事業年度に適用する。
  ちなみに法人実効税率とは、法人事業税および地方法人特別税が損金算入されることを調整した上で、法人税、法人住民税、法人事業税(所得割)、地方法人特別税の税率を合計したものである。
●  中小法人に対する軽減税率も引き下げ
  中小企業(資本金1億円以下)については、所得800万円以下について軽減税率18%(本則22%)を適用できるが、平成23年3月31日の間に終了する事業年度をもって本則22%となる。
  そこで、わが国で地域経済の柱となり、雇用の大半を担っているのが中小企業であり、厳しい経済状況の中、こうした中小企業を支えることは重要な課題の一つであるため、軽減税率を15%(本則19%)に引き下げる。平成23年4月1日から平成26年3月31日の間に開始する事業年度において適用する。なお、平成23年度4月1日前に開始し同日以後に終了する事業年度は、経過措置として現行の税率を適用する。
  ちなみに、中小企業は約260万社あり、うち利益を計上している法人は約73万社ある。さらにそのうち所得800万円未満であるのが約52万社にも及ぶことから考慮しても、中小法人税率の引き下げメリットは大きい。例えば、所得金額が800万円の法人の場合、
   現行: 800万円×18%=144万円
   改正案: 800万円×15%=120万円
144万円−120万円=24万円ものキャッシュアウトを抑えることができる。資金が潤沢でない中小企業にとって朗報である。
●  所得の大きい中小企業には…
  平成23年度税制改正大綱の検討事項として、「会計検査院から意見表示がなされている中小企業者に対する法人税率の特例の適用範囲の見直し及び中小企業者に適用される租税特別措置の適用範囲の見直しについては、経済産業省において適用実態を精査した上で、平成24年度税制改正において検討することとします。」と記されている。
  これはどういうことかというと、大企業並みに所得のある中小企業について、軽減税率を適用する必要性があるのかどうかを検討していくという内容である。来年以降の改正となるが、中小企業にとっては重要な事項である。

なお、平成23年度税制改正大綱については国会を通過するまでは確定事項ではありませんので、ご了承願います。
(今村 京子 マネーコンシェルジュ税理士法人)
2011.01.17
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