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「副鼻腔炎」告知における留意点
●  副鼻腔炎(ふくびくうえん)とは
  毎日寒い日が続いていますので、風邪をひかれて鼻水のとまらない方も少なくないのでは? また、今年はもう花粉が舞い始めており、症状の出ている方も多いのではないでしょうか。
  さて、顔面骨や頭蓋骨の内部には「副鼻腔」という空洞があります。上顎洞、篩骨洞(しこつどう)、前頭洞、蝶形骨洞(ちょうけいこつどう)という4種類がそれぞれ左右にありますが、開口部は細い自然孔を通じて鼻の中と通じていて、換気の役目もしています。
  「副鼻腔炎」とは、アレルギーや細菌やウイルスの感染で副鼻腔内に炎症が波及したものです。急性と慢性(いわゆる蓄膿症)があり、毎年1,000万人以上が発症するといわれています。
●  症状と原因
  主な症状は、鼻閉(鼻づまり)です。粘膜が腫れて空気の通過障害が起こるためです。その他、鼻汁(黄〜黄緑色)、頭痛、顔面痛、味覚障害などが起こります。感冒の原因菌であるウイルスや細菌、アレルギーの原因となるハウスダスト、花粉、鼻中隔湾曲症などの骨の構造の異常も悪化の原因となります。
●  経過
  急性の副鼻腔炎は感冒による鼻炎に合併するものが多く、通常は1〜2週間で完治しますが慢性化することもあります。慢性化した場合は数年〜数十年にわたり病巣感染巣となって細菌をばらまき、慢性気管支炎、慢性咽頭炎、気管支拡張症の原因となることもあります。重症の場合には、腫れた粘膜が鼻腔まで広がってポリープ(いわゆる鼻茸)になったりします。
●  治療
   保存療法:
急性の場合は抗生物質や蛋白分解酵素、抗炎症剤の投与や、鼻内に蒸気を送るネブライザー療法などがあります。
慢性の場合は、それに加えて、(菌を叩くというより)粘膜の機能を正常化する目的で、少量のマクロライドを数カ月投与する治療法もあります。
   手術療法:単独または同時に複数の手術が行われることもあります。
内視鏡下副鼻腔手術(ESS)
鼻の穴から内視鏡を用いて鼻腔と副鼻腔の隔壁を開放し、一部の病変粘膜のみを除去する方法です。
内視鏡下鼻内整復術
鼻中隔湾曲症や下甲介の腫脹などの構造的な原因で開口部が閉鎖され炎症が起きやすい場合に行われます。
拡大前頭洞手術
額の裏の前頭洞の炎症は頭痛や眼痛の原因にもなり、難治性で難易度も高い手術ですが、近年は機器の進歩により、鼻内内視鏡で骨を削り、前頭洞の交通路を拡大することができます。
鼻茸切除術
鼻閉の原因となっているポリープを切除しますが再発もあります。アレルギー性鼻炎や肥厚性鼻炎を合併している場合は、レーザーや高周波やラジオ波凝固治療によって鼻粘膜の腫れを軽減させる治療法もあります。
●  ご契約をいただく際には
  現在治療中であっても、生命保険については基本的に無条件で加入できると思われます。ただし、内容から重症例や手術の可能性がある場合は削減等の特別条件付きでの加入となるでしょう。また、入院保険に関しては既に治ったと告知をされても、部位不担保等の条件付きでの加入となるでしょう。再発の可能性も考慮されるからです。
(上田香十里 株式会社査定コンサルティング代表)
2011.01.24
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