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「髄膜炎」告知における留意点
●  髄膜炎(ずいまくえん)とは
  「髄膜炎」という病気をご存じですか? 名前だけ聞くとなんだか恐ろしそうな病気ですが、完治して後遺症がなければ保険加入が可能な場合が多くあります。
  「髄膜」とは、脳と脊髄全体を包み、クッションのような役目をしている膜です。皮膚の表面側から「硬膜」「クモ膜」「軟膜」の三層構造になっていて、軟膜とクモ膜の間のスペース(クモ膜下腔)に髄液があります。髄膜炎は、何らかの原因で細菌やウイルス等が感染して髄膜に炎症を起こす病気です。
  熱、頭痛、嘔吐が3大症状です。診察所見としては、項部硬直(首が硬く曲げにくい)やケルニッヒ徴候(股、膝を直角に曲げた状態から膝を真っすぐに伸ばせない症状)などの髄膜刺激症状を示します。
●  原因
  細菌やウイルスが鼻、喉、気管の粘膜に感染して、まずかぜ症状を起こし、免疫が低下していたりすると、血行性に髄膜に移行します。潜伏期間は通常3〜4日ですが、急激に発症し重篤な後遺症を残す場合もあります。
  無菌性髄膜炎:髄膜炎の中で最も多く、いろいろなウイルスを原因として起こります。多いのはエコーウイルスやエンテロウイルスなど夏かぜを起こすウイルス、次いでムンプスウイルスなどです。この他に単純ヘルペス、麻疹、アデノウイルス、風疹ウイルス、インフルエンザウイルスなどもあります。
  細菌性(化膿性)髄膜炎:細菌を原因として起こります。頻度は少ないですが、年齢による特徴があります。新生児はB群溶連菌や大腸菌、乳幼児期にはインフルエンザ菌、肺炎球菌、髄膜炎菌などが多いです。重症化しやすく、後遺症を残す率も高いです。成人は肺炎球菌や髄膜炎菌、高齢者や免疫力低下者等はMRSA、結核性、真菌性などもあります。
●  予後
  無菌性髄膜炎は一般的には生命予後は良好で、後遺症もほとんど見られません。
  一方、化膿性髄膜炎の中でも髄膜炎菌によるものは、頻度は少ないのですが、届出が必要な感染症で劇症型の場合は突然発症して死に至ることも多くあります。患者が子どもだと手足の麻痺、難聴、癲癇などの後遺症が残ることもあります。
  結核性のものは、亜急性の発症・経過ですが、重篤で、死亡率も高いです。また、失明、難聴、水頭症などの重い後遺症の可能性も多くあります。
●  ご契約をいただく際には
  原因菌と治療期間、後遺症の有無がポイントとなります。1カ月以内くらいの短期間の入院で完治していれば、後遺症がなければ加入に問題ないでしょう。
  ただし長期加療の場合は、完治後の経過年数により、死亡保険については条件付きでの加入、入院保険については延期となる可能性もあります。
(上田香十里 株式会社査定コンサルティング代表)
2011.02.07
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