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消費税等の確定申告における誤りやすいポイントは…
●  納税義務は消費税を含む課税売上高で判定
  個人事業者の消費税等の確定申告はすでに1月4日から始まっているが、国税当局は、その確定申告にあたって誤りやすいポイントを例示して注意を喚起している。
  まず、納税義務者は課税期間(2010年)の基準期間(2008年)における課税売上高が1,000万円を超える事業者などだが、2008年分において免税事業者だった個人事業者が納税義務の判定に当たって、売上高に105分の100を乗じて課税売上高を計算している誤りが見受けられる。
  例えば、2008年分の売上高は1,040万円だが、105分の100を掛けると約990万円だから、1,000万円を超えないので申告しないといった具合だ。ところが、免税事業者の売上には消費税が課されていないので、基準期間である課税期間に免税事業者だった場合の課税資産の譲渡等の対価の額は、その期間中に国内において行った課税資産の譲渡等に伴って収受し、または収受すべき金銭等の金額の全額となることに留意する必要がある。
●  事業用資産の譲渡も含めて課税売上高を計算
  また、2010年分における基準期間の課税売上高を計算する際に、事業用資産の譲渡の対価の額を含めていないケースもみられる。
  例えば、住宅用として貸し付けていた建物であっても、その譲渡は課税の対象となるので、これらの金額を含めて判定しなければいけない。
  次に、被相続人が提出した「消費税課税事業者選択届出書」の効力は、相続人には及ばないので、その適用を受けるためには、新たに同届出書を提出する必要がある。
  そのほか、「消費税課税事業者選択届出書」を提出した者について、基準期間の課税売上高が1,000万円を超えた場合には、同届出書の効力は消滅しない。その届出書を提出したことで課税事業者となった後の基準期間の課税売上高が1,000万円を超えた場合であっても、「消費税課税事業者選択不適用届出書」を提出しない限り、再度基準期間における課税売上高が1,000万円以下になる課税期間においても、課税事業者になるので要注意だ。
●  課税仕入れに係る消費税額は105分の4を乗じて計算
  課税仕入れの関係では、消費税率4%適用分に係る課税仕入れに係る消費税額を、課税仕入れに係る支払対価の額(税込み)に105分の5を乗じて計算している誤りがある。このケースでは、課税仕入れに係る支払対価の額(税込み)に105分の4を乗じて計算することになる。消費税の税率は4%で、地方消費税1%相当を含めると5%になることに留意する。
  事業と家事に共用する減価償却資産を取得しているが、その取得価額の全額を課税仕入れに係る支払対価の額としている誤りもある。
  家事共用資産を取得した場合、その家事使用に係る部分は、課税仕入れに該当しない。この場合、その資産の取得に係る課税仕入れに係る支払対価の額は、その資産の使用率または使用面積割合等の合理的な基準により計算することとされている。家事共用資産を譲渡した場合にも、同様の取扱いになる。
(浅野宗玄 税金ジャーナリスト、株式会社タックス・コム代表)
2011.02.07
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