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申告書提出前に所得税等の改正事項の再確認を!
●  寄附金控除・政党等寄附金特別控除の適用下限の引下げ
  国税庁は、2010年分の所得税等の確定申告に際し、2010年分の所得税や消費税、贈与税などに関する改正事項を改めて示して、申告書を提出する前に再度確認することを勧めている。主な改正事項は、
(1) 所得税における寄附金控除や政党等寄附金特別控除の適用下限額の引下げ
(2) 消費税の課税事業者を選択した場合の取扱い
(3) 2010年分・2011年分の住宅取得等資金の贈与税の非課税の改正
などがある。
  寄附金控除の改正については、2010年分の確定申告に際して寄附金控除を適用する場合には、適用下限額が2千円(改正前5千円)に引き下げられている。また、2014年12月31日までに支出した寄附金に係る政党等寄附金特別控除についても、税額控除の計算の対象となる政党等に対する寄附金の適用下限額が2千円(改正前5千円)に引き下げられているので注意が必要だ。
●  2010年4月以後、課税事業者を選択した人等は要注意
  消費税の課税事業者選択届出書を提出し、2010年4月1日以後開始する課税期間から課税事業者となる場合、課税事業者となった課税期間の初日から2年を経過する日までに開始した各課税期間中に、調整対象固定資産の課税仕入れを行い、かつ、その仕入れた日の属する課税期間の消費税の確定申告を一般課税で行う場合は要注意である。
  また、資本金1千万円以上の法人を設立して、新設法人の基準期間がない事業年度に含まれる各課税期間中に、調整対象固定資産の課税仕入れを行い、かつ、その仕入れた日の属する課税期間の消費税の確定申告を一般課税で行う場合も同様となる。
  こうしたケースでは、調整対象固定資産の課税仕入れを行った日の属する課税期間の初日から原則として「3年間」は、免税事業者となることはできず、簡易課税制度を適用して申告することもできない。一般課税により消費税の確定申告を行う必要がある。
  ちなみに、調整対象固定資産とは、棚卸資産以外の資産で、建物及びその付属設備、構築物、機械及び装置、船舶、航空機、車両及び運搬具、工具、器具及び備品、鉱業権等の無形固定資産その他の資産で、消費税等に相当する金額を除いた金額が100万円以上のものが該当する。
●  住宅取得等資金の贈与税の非課税
  住宅取得等資金の贈与税の非課税では、父母や祖父母など直系尊属からの贈与により、自己の居住の用に供する住宅用の家屋の新築や取得、増改築等のための金銭(「住宅取得等資金」)を取得した場合において、一定要件を満たすときは、500万円までの金額について贈与税が非課税とされていた(「旧非課税制度」)。
  この制度が改正され、2010年1月1日から2011年12月31日の間に直系尊属から贈与を受けた住宅取得等資金のうち、原則として、2010年の贈与についてこの制度の適用を受ける人は1,500万円までの金額、2011年度の贈与についてこの制度の適用を受ける人は1,000万円まで贈与税が非課税となる。
  新・旧非課税制度とも、贈与税の申告期限内に贈与税の申告書及び添付書類などを提出した場合に限り、その適用を受けることができる。つまり、期限内申告が必要となる。贈与税の申告期限は、贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までだ。
  また、新・旧非課税制度適用後の残額には、暦年課税にあっては基礎控除額(110万円)、相続時精算課税にあっては特別控除額(2,000万円)が適用できる。なお、相続時精算課税に係る特別控除額(2,500万円)の適用は、原則として、父母からの贈与の場合に限られるので留意したい。
(浅野宗玄 税金ジャーナリスト、株式会社タックス・コム代表)
2011.02.14
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