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協会けんぽの保険料率3月分よりアップ、全国平均9.50%へ
●  健康保険料率は、全国平均0.16ポイント上昇
  主に中小企業の会社員と家族が加入する全国健康保険協会(協会けんぽ)は、平成23年3月分からの都道府県別の保険料率を変更する予定となっていたが、このたび厚生労働大臣の認可がおり正式に保険料率が決定した。
  全国健康保険協会は、厳しい財政状況の中、平成22年度の健康保険料のアップに続き、平成23年度の健康保険料についても、引上げを行わざるを得ない状況となった。加入している企業サイドからすれば、「今後どこまで上がるのか?」という将来への不安もたくさん抱えており、全国健康保険協会も説明を工夫するなどして、理解を求める必要があるだろう。
  さて肝心の保険料率だが、すべての地域で平成22年度より上昇し、全国平均は現在の9.34%から0.16ポイント高く、9.50%になった。また、介護保険料については全国一律で1.50%から1.51%へ引上げられている。
●  保険料率が最も高いのは、北海道と佐賀県、最も低いのは長野県
  全国健康保険協会の発表によると、保険料率が最も高いのは9.60%の北海道(0.18ポイント増)と佐賀県(0.19ポイント増)で、最も低いのは長野県の9.39%(0.13ポイント増)となった。東京都は9.48%(0.16ポイント増)と、全国平均より少し低いところで決定されることになった。
  東京都の場合で、標準報酬月額が28万円の社員のケースでは、保険料は26,096円となり、これを労使で折半する形となる。労働者負担分は、今回の改正で224円のアップになるが、企業側も同じ額のアップとなりその負担は大きい。そう考えると、このような社員が100人在籍する企業であれば、企業負担だけでも毎月22,400円も増えてしまうことになる。これは年間で考えれば、268,800円の増額になるということだけは押さえておきたい。
  全国健康保険協会の保険料率は都道府県ごとの医療費を反映させて決める仕組みとなっているが、各都道府県の地域差はこれまで0.16ポイントだったが、今回の変更で地域差が0.21ポイントに広がることになった。
●  医療費抑制に社会全体で取り組む
  保険料率が上昇する理由は、年々医療費が増加する一方で、賃金が減少しているからというシンプルなものであり、今後はその医療費の抑制に社会全体で取り組んでいかなければならない。
  全国健康保険協会も医療費の増大を防ぐため、医療費の適正化、経費節減などに積極的に取り組んでいる。特に、ジェネリック医薬品の使用促進に力を入れたことが、医療費適正化につながっており、今後も地道な加入者一人ひとりの行動なども大事になってくるといえる。
  今後も国庫補助率のアップがなければ、健康保険制度を維持するうえでは保険料率アップは避けることができない。
  最後に全国健康保険協会に加入している被保険者の賃金水準が、平成20年から毎年少しずつ下がっている点も、非常に気になるところである。賃金水準の低下が、健康保険料率にも影響を与えているということは理解しておきたいところである。

参考: 全国健康保険協会 平成23年度保険料額表
    http://www.kyoukaikenpo.or.jp/8,0,120,674.html
(庄司 英尚 株式会社アイウェーブ代表取締役、
庄司社会保険労務士事務所代表、社会保険労務士)
2011.02.21
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