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株式投資信託の残高が回復
●  2007年までは販路拡大で株式投資信託の残高は急増
  下図は公募の株式投資信託の、販売窓口別および合計残高の推移である。
  「貯蓄から投資へ」という国の方針や金融自由化、確定拠出年金の導入などにより、株式投信の残高は2000年代になって右肩上がりに増加した。中でも目を引くのが銀行等経由で販売された残高の急増である。
  金融自由化で銀行や証券会社、保険会社に対する規制が緩くなり、各金融機関の業務の垣根が低くなった。それまで証券会社経由か投資信託会社からの直販でしか購入できなかった投資信託が、自由化により銀行や保険会社、郵便局などでも購入できるようになったことから身近な金融商品となっていったのである。この時期、日経平均株価が上昇傾向にあったことも追い風となった。
  2000年代初めには約15兆円だった合計残高は、2007年末には約67兆円に達したが、リーマンショック後の2008年末には株価下落の影響などで約41兆円まで激減した。
●  残高は2年で30%増
  早いもので、2008年9月のリーマンショックから約2年半が経つ。あらゆる産業が打撃を受けた日本では、不安定な雇用問題など不況から脱却したとはいえないものの、昨年11月末には日経平均株価が1万円を超えるなど、景気回復の兆しも見えてきた。
  株式投資信託についても、株価の回復に伴って残高は再び増加し、2010年末には2008年末残高より30%増の約52兆円となった。基準価額の上昇に加え、新しい資金も流入している(新規設定額から解約額を差し引いた額がプラス、つまり資金純増の状態)。円高基調が続きそうなこともあり、海外、特に新興国や資源国の株や債券、通貨に投資する投資信託が人気を集めているのも要因のひとつだろう。
  株式投資信託についてはコストや販売方法などの問題もあるが、確定拠出年金の普及もあって、いまや個人の資産運用の選択肢には欠かせない金融商品である。どんな投資信託がどれくらい購入されているか、ときにはチェックしておきたい。
(CFP® 山田 静江)
2011.02.28
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