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2009年分申告所得税の納税者数は4.6%減の718万人
●  所得金額500万円を超える階級は減少傾向
  国税庁が発表した「税務統計から見た申告所得税の実態調査」結果によると、2009年分の申告所得税の納税者数は前年比4.6%減の718万人と、4年連続で減少した。同調査は、全国524税務署より、約6万1千者の標本を抽出し分析したもの。
  申告所得金額は前年比10.6%減の35兆3,865億円と3年連続の減少、申告納税額は同12.8%減の4兆5,395億円と2年連続の減少だった。
  納税者数を所得者区分別にみると、給与所得者が全体の33.4%、雑所得者が28.1%、事業所得者が20.5%、不動産所得者が15.1%、他の区分に該当しない所得者が2.9%となっている。
  納税者数の所得階級別の構成比をみると、所得金額200万円以下の者が全体の38.4%、500万円を超える者が24.2%となっている。構成割合の推移をみると、所得金額200万円以下の階級は、1999年分の25.2%から、2004年分は30.6%、2009年分は38.4%と増加傾向にある一方、所得金額500万円を超える階級は、1999年分の30.8%から、2004年分は28.0%、2009年分は24.2%と減少傾向にある。
●  10年前に比べ所得金額・税額はそれぞれ13.9%・4.5%、ともに減少
  2009年分の所得金額35兆3,865億円は、前年に比べ10.6%減少し、10年前(1999年分)に比べると13.9%減少している。所得金額の所得者区分別構成割合をみると、給与所得者が45.4%、事業所得者が16.2%、不動産所得者が16.1%、雑所得者が11.5%、他の区分に該当しない所得者が10.8%となっている。
  2009年分の税額4兆5,395億円は、前年に比べ12.8%減少し、10年前(1999年分)に比べると4.5%減少している。税額の内訳をみると、源泉徴収税額は2兆2,670億円、申告納税額は2兆2,725億円で、それぞれ前年に比べ11.4%、14.2%の減少。また、所得階級別にみると、所得金額200万円以下の者の税額は750億円で全体の1.7%、500万円を超える者の税額は4兆1,935億円で92.4%をそれぞれ占めている。
●  納税者1人あたりの平均所得金額は493万円
  2009年分における納税者1人あたりの平均所得金額は493万円で、前年と比べると6.3%減少し、10年前と比べると11.2%減少。所得者区分別にみると、事業所得者は388万円、不動産所得者は526万円、給与所得者は672万円、雑所得者は202万円、他の区分に該当しない所得者は1,810万円となっている。
  また、1人あたりの平均税額は63万円で、前年と比べると8.6%減少し、10年前と比べると1.6%減少している。2009年分の所得税の負担割合は12.8%で、所得100万円以下の階級は1.4%、1億円を超える階級は26.4%となっている。
●  青色事業専従者の平均給与は213万円
  2009年分における所得控除の総額は9兆2,713億円で、所得金額の26.2%にあたり、前年と比べると5.3%の減少。納税者1人あたりの控除額は129万円で同0.7%減少している。
  所得控除額の構成割合をみると、社会保険料控除が32.7%、基礎控除が29.4%、扶養控除が13.6%となっている。
  納税者のうち、扶養親族(控除対象配偶者を含む)のある者の占める割合は全体の46.5%と半数近くで、扶養親族が1人の者の割合は全体の32.1%でもっとも多く、次いで2人が8.3%と、1人または2人の者の割合が40.4%となっている。
  なお、青色申告の納税者数は214万人で、うち青色事業専従者のある者の割合は25.5%。これを事業所得者だけについてみると、50.1%となっている。また、青色事業専従者1人あたりの平均給与額は213万円で、前年と比べると0.1%の増加。青色申告以外の納税者のうち、事業専従者控除の適用を受けている者の割合は2.5%。これを事業所得者だけについてみると、15.0%となっている。
参考資料は↓
http://www.nta.go.jp/kohyo/tokei/kokuzeicho/shinkokuhyohon2009/gaiyo.pdf

(浅野宗玄 税金ジャーナリスト、株式会社タックス・コム代表)
2011.03.07
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