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「胃ポリープ」告知における留意点
●  胃ポリープとは
  胃ポリープは、ポリープ自体に痛みがあるわけではないので自覚症状はなく、多くが健診で偶然発見されます。ただし、大きいものやポリープができた場所によっては、上腹部の不快感や食欲不振、吐気などが生じることがあります。
  高齢者に多いことから細胞の遺伝子の変異も考えられていますが、原因についてはまだよく分かっていません。ピロリ菌の除菌で消失することから、ピロリ菌の関与も疑われています(過形成性ポリープ)。
●  分類
  肉眼的には、隆起の程度や茎の有無によりT型〜W型に分けられます(山田の分類)。病理学的には、胃底腺ポリープや過形成性ポリープがあります。
 【胃底腺ポリープ】
    胃上部の胃底腺領域より発生する3〜5mmの小ポリープで、粘膜の萎縮を伴わないことが多く、放置してもよいことが多いです。
 【胃過形成性ポリープ】
    ピロリ菌や粘膜の萎縮と関係し、加齢に伴い増大します。集団検診での発見率は1%程度ですが、大きくなると出血や一部悪性化の危険性もあるので1cmを超えたら内視鏡的に切除が勧められます。
 【胃腺腫】
    内視鏡検査の1%でみつかる、5〜10mm前後の扁平隆起性病変で、良・悪性の境界病変です。大きくなるとがん化しやすいので、内視鏡的切除の適応となります。
 【異型上皮(ATP)】
    過形成ポリープと違い、細胞の遺伝子に狂いが生じ、先々がん化する可能性のあるポリープで、正常とがん化の中間(GroupV)です。一般的に切除の対象となり「内視鏡的粘膜切除」が行われることもあります。
●  治療(切除)するケース
  胃にポリープができても、前述のとおりほとんどは経過観察となります。大腸ポリープに比べがん化率も少ないのが特徴です。とはいえ、下記のような場合などにはポリープ切除の対象となります。
胃ポリープが原因で、貧血になっている場合
大きなポリープや、小さくても多数生じている場合は表面からじわじわと出血が生じて、貧血を起こしている場合
通過障害がある場合
胃の出口付近に大きなポリープがある場合など、胃もたれなどの症状が出る場合
●  術式
内視鏡的ポリペクトミー
内視鏡の先端に付けたワイヤーをポリープの隆起した部分に引っ掛け、高周波電流を流して焼き切る方法です。
内視鏡的粘膜切除術(EMR)
ポリープが大きい場合や、早期がんが疑われる場合など、ポリープの下に注射をして底上げしてから、周りの粘膜ごと切除する方法です。
●  ご契約をいただく際には
  人間ドックで指摘された胃ポリープで経過観察中の場合、死亡保険については標準体で加入できる場合もあります。入院保険については、生検のみで切除していない場合は今後手術の適用となる可能性を考慮し、一定期間の条件付き(部位不担保)が必要となる場合もあるでしょう。
  病名に胃ポリープと告知されていても、「内視鏡的粘膜切除術」や「腹腔鏡や開腹術」等の手術を受けている場合は、悪性腫瘍の可能性も考慮にいれる必要があるため加入が厳しくなります。悪性を否定するためには、詳細告知に加え、病理診断書を提出いただくことも必要でしょう。
(上田香十里 株式会社査定コンサルティング代表)
2011.03.22
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