>  今週のトピックス >  No.2209
生命保険契約の保険金・給付金は地震による減額なし
●  生命保険には大規模災害時の免責条項がある
  生命保険などの保険契約は、過去の統計による事故率(死亡率、入院率など)に基づいて、保険料や保障内容が決められている。そのため、大きな災害などによって想定外の保険金支払いが生じると、支払いが滞ったり保険会社の健全性が悪化したりすることがある。こういった事態を避けるため、約款では「免責条項」を定めている。
  生命保険契約の場合、戦争や地震、噴火、津波等の大規模災害で多くの人が亡くなった場合、その数が保険の計算の基礎に影響を及ぼすときには、終身保険や定期保険の「死亡保険金額を削減する」ことができる。また、災害死亡割増特約が付加されている場合には、「災害保険金を削減したり支払わなかったりすること」ができることになっているのだ。
●  地震による免責条項は今回不適用
  今回の地震は過去最大と言われるほどの大規模災害であるため、保険会社の対応が注目されていたが、2011年3月15日のニュースリリースで「今回の東北地方太平洋沖地震により被災した方の契約について、同協会に加盟している全生命保険会社で、地震による免責条項等を適用せず、災害関係保険金・給付金の全額を支払うことを決定した」という趣旨の発表がなされた。
  生命保険協会には、現在日本国内で営業を行っている生命保険会社47社全社が加入しているので、生命保険会社と契約している生命保険や医療保険すべてが免責条項による削減はないことになる。
  JA共済もほぼ同様の扱いである。ホームページでは、生命共済(生命保険分野の共済)では地震・津波による共済金削減規程はないこと(つまり死亡共済金は全額支払われる)、および今回の地震・津波を災害と認定して、災害関係の共済金を支払うことなどが発表されている。
  なお今回のような広域の災害では、行政や金融機関等の機能や被災者の生活が通常に戻るまでには相当な時間がかかると予想されるため、被災地域(災害救助法適用地域)においては、保険金(共済金)や給付金、契約者貸付金等の手続きに必要な書類を省略することができる。また、被災により保険料や掛金の払い込みが困難なときには、払込猶予期間を延長する措置も講じられる。
●  地震保険は全額支払い
  地震保険については、「こんな大きな地震では支払われるわけがない」という流言も出回っているが、結論を言えば今回は支払われる。
  3月17日付けで発表されている、損害保険協会会長のステートメントによれば、損害保険会社は、通常の責任準備金の他に今回のような巨大災害に備えた異常危険準備金を積み立てている。さらに国際的な「再保険」のしくみに加えて、地震保険については政府による「再保険」もあるので、今回の規模であれば対応できるということだ。
  地震保険に加入していた被災地の方々は、迷わず請求していただきたい。
(CFP® 山田 静江)
2011.03.28
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