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OJTを通して全体の能力を高める ―「能力開発基本調査」結果の概要―
  企業、事業所及び労働者の能力開発方針や取り組み状況などの実態を、正社員・非正社員別に明らかにし、職業能力開発行政に活用することを目的に平成18年度から毎年度実施されている「能力開発基本調査」。このたび平成22年度の調査結果の概要が発表された。
●  「全体重視」か「選抜重視」か
  調査結果の概要によると、企業における従業員に対する教育方針については、労働者を選抜して能力を高めるよりも労働者全体の能力を高めることを重視している企業の割合が前年度よりも上昇した。
  正社員に対する教育方針については、「労働者全体の能力を高める教育訓練を重視」または「全体重視に近い」とする企業は53.5%(前回49.5%)であり、「選抜した労働者の能力を高める教育訓練を重視」または「選抜者重視に近い」とする企業の46.5%(前回50.6%)を逆転した。一方、非正社員に対する教育方針については、「労働者全体の能力を高める教育訓練を重視」または「全体重視に近い」とする企業は48.8%と前回の46.7%から増加し、「選抜した労働者の能力を高める教育訓練を重視」または「選抜者重視に近い」とする企業は51.1%と前回の53.2%から減少した。
  今後の方向付けをみると、正社員・非正社員ともに「労働者全体の能力を高める教育訓練を重視」または「全体重視に近い」とする企業割合が高くなり、正社員では59.8%、非正社員では51.8%となっている。
●  「OJT」か「OFF−JT」か
  訓練の方法としては、「OFF−JT(仕事を離れて行う訓練)」よりも「OJT(実際の仕事を通じて行う訓練)」を重視している企業の割合が上昇した。
  正社員に対する教育訓練の方法については、「OJTを重視」または「OJT重視に近い」とする企業は74.5%(前回70.8%)であり、「OFF−JTを重視」または「OFF−JT重視に近い」とする企業は25.4%(前回29.2%)である。一方、非正社員に対する教育訓練の方法については、「OJTを重視」または「OJT重視に近い」とする企業割合が79.2%(前回78.2%)、「OFF−JTを重視」または「OFF−JT重視に近い」とする企業割合は20.7%(前回21.7%)となった。
●  従業員個人の自己啓発実施状況
  自己啓発を行った者は、正社員では41.7%(前回42.1%)、非正社員では18.4%(前回20.0%)と減少しているが、自己啓発を行った者の一人当たりの平均延べ受講時間をみると、正社員では83.1時間(前回74.3時間)、非正社員では82.3時間(前回66.5時間)となり、正社員・非正社員ともに前年度よりも増加している。
  自己啓発の実施方法(複数回答)としては、正社員では「ラジオ、テレビ、専門書、インターネットなどによる自学、自習」を挙げる者の割合が49.1%(前回47.1%)で最も高く、以下「社内の自主的な勉強会、研究会への参加」の25.5%(前回23.8%)、「民間教育訓練機関の講習会、セミナーへの参加」の20.9%(前回22.3%)、「社外の勉強会、研究会への参加」の19.9%(前回19.3%)と続いている。
  非正社員においても「ラジオ、テレビ、専門書、インターネットなどによる自学、自習」を挙げる割合が39.3%(前回40.8%)と最も高く、これに「社内の自主的な勉強会、研究会への参加」が30.8%(前回31.0%)と続いている点は正社員と同様である。一方、「社外の勉強会、研究会への参加」などは13.9%(前回13.7%)と正社員に比べると低い。
  自己啓発を行う上での問題は、正社員・非正社員ともに「仕事が忙しくて自己啓発の余裕がない」、「費用がかかりすぎる」の割合が高い。また、非正社員では「家事・育児が忙しくて自己啓発の余裕がない」の割合が正社員に比べて高くなるなど、正社員とは異なる傾向もみられる。
2011.03.28
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