>  今週のトピックス >  No.2211
「痛風」告知における留意点
  別名「ぜいたく病」とも言われる痛風は、カロリーの高い食事やアルコールを好む人によく見られる病気です。「風が当たっても痛い」ということから痛風とよばれるようになりました。痛風の発作は起きた人でないとわからないといいますが、傍から見ても確かに本当に痛そうです。現在、日本には推定で50〜60万人もの痛風患者がいるといわれており、その99%が男性です。つまり痛風は男性の病気です。痛風の好発年齢は、かつて50歳代でしたが現在では若年化が進み30歳代の患者が最も多いようです。
●  痛風の原因は尿酸
  食べて「美味しい」と感じるのは、プリン体とよばれる核酸の構成成分によるものです。そのプリン体が体内で代謝された際に生じるのが「尿酸」です。食品中の旨味成分であるプリン体は、細胞の核酸中に多く含まれるため、細胞数の多いもの、細胞分裂の盛んな組織に多く含まれます。具体的にはレバー類、白子、エビ、イワシ、カツオなどがあげられます。
  細胞は常に新陳代謝を繰り返しているので、尿酸も常につくり出されています。血液に混じって全身を回った後に腎臓で尿や便に混じって排出されます。よって血液の中には一定量の尿酸が含まれていますが、この尿酸の量が増えすぎると、余分な尿酸が体内の特定の場所に溜まって結晶化し痛風のもととなるのです。
  尿酸は溶解度が低く、血液中で7mg/dlぐらいの濃度になると、それ以上溶けることができなくなり、結晶化します。特に足の親指の付け根あたりは血のめぐりが悪いため結晶化しやすく、同時にその部分に炎症が起こり、痛みが出るのが痛風です。
●  なぜ痛風が怖いのか
  血中の尿酸値の高い状態を放置すると、痛風発作(痛風関節炎)の頻度が増し慢性関節炎に移行します。さらに関節や軟骨の周辺、腱や皮下組織などに尿酸塩が沈着し、痛風結節とよばれる肉芽組織が出るようになります。尿酸塩が腎臓に蓄積すると痛風腎となり最悪は人工透析の必要な腎不全となります。
●  ご契約をいただく際には
痛風または高尿酸血症の治療中のお客さまの告知のポイントは以下です。
・  服薬治療を開始した契機は何か?(人間ドックなどで高尿酸血症を指摘されて予防的にその治療薬を飲み始めたのか、それとも痛風の急性関節炎発作を起こして病院へ駆け込み服薬治療を開始したのか)
痛風発作の有無(発作がある場合、何回発作を繰返したか)
最近の尿酸値(コントロール状況を示すためのデータがあると良いでしょう)
服薬している薬剤名
  痛風患者の約30%に何らかの腎障害を認めるといわれています。高尿酸尿により酸性尿になって起こる尿路結石もあります。また、痛風はメタボリックシンドロームと合併することが多いため、ほかの疾患が存在していないかが重要なポイントになります。したがって腎臓の機能障害やほかの疾患を否定するためにも定期健康診断結果や人間ドック成績表を提出されると良いでしょう。
(上田香十里 株式会社査定コンサルティング代表)
2011.04.04
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