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セーフティネット保証、平成23年度上半期は原則全業種
●  創設から約2年半が経つ緊急保証制度
  中小企業者等に対する資金繰り支援として行われている緊急保証制度が、このたびの東北地方太平洋沖地震の影響を受け、実質的に延長されることになった。今回は、これまでの経緯も含めて、緊急保証制度の措置についてお伝えする。
  そもそも緊急保証制度の始まりは、平成20年10月31日にまでさかのぼる。平成20年9月のリーマン・ブラザーズ破綻を皮切りに世界的な金融危機が発生した、いわゆるリーマン・ショックの対応策として新設されたのがそもそもの始まりである。保証協会融資はその前年、平成19年10月1日から責任共有制度が導入されており、信用保証協会の保証割合がそれまでの100%から原則80%(一部の融資を除く)に変更されていた。そのため、売上高や利益率の減少など一定の要件を満たした中小企業者等に対しては、信用保証協会が100%保証することにより、円滑に融資が実行されるようにした。これが緊急保証制度である。指定業種は徐々に追加され、最終的には中小企業の約8割が利用できるまでに拡大された。
●  1月末にはいったん緊急保証制度の縮小継続が決定
  平成22年2月15日には、景気対応緊急保証制度と改められ、原則全業種を対象に、平成23年3月31日まで延長されることになった。この際に、2年前同期の売上高等から3%以上減少していれば対象になる、新たな基準も追加されている。緊急保証制度は30兆円の利用枠だったが、このときに6兆円追加され、36兆円の利用枠が設定された。
  その後、利用期限が迫ってくるにつれ、平成23年度末での緊急保証制度の打ち切りが取り沙汰されていたが、今年の1月末に今後の対応策が発表された(No.2188「年度末、融資制度の延長・打ち切り等に注意」参照)。内容は、一部の業種についてのみ4月以降も100%保証を継続するというもので、前期より売上が増加していても対象となる新要件も設けられた。
●  原則全業種の82業種で100%保証を半年継続
  しかし、先日の東北地方太平洋沖地震の影響で状況は大きく変わったため、中小企業庁は3月23日に、セーフティネット保証(5号)の対象業種拡大を決定した。緊急保証制度自体は3月末で終了し、4月からはセーフティネット保証(5号)として100%保証が継続される、という点は以前と変わらない。今回は、当初一部業種限定の予定だったセーフティネット保証(5号)の対象業種を拡大する、という形で発表されている。
  対象は、原則全業種となる82業種が対象で、期間は平成23年9月末までとなる(10月以降は業種を見直す予定)。売上高等の基準については、地震の影響を受け、下記の新基準が追加されている。
「平成23年東北地方太平洋沖地震の発生後、原則として最近1カ月間の売上高等が前年同月に比して20%以上減少しており、かつ、その後2カ月間を含む3カ月間の売上高等が前年同期に比して20%以上減少することが見込まれること」
(村田 直 マネーコンシェルジュ税理士法人)
2011.04.04
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