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地震被害による雇用調整助成金の要件緩和
●  災害救助法適用地域に事業所がある場合の特例
  厚生労働省は3月18日、東北地方太平洋沖地震被害に伴う経済上の理由で事業活動が縮小した場合にも、雇用調整助成金を利用することができることを発表した。また、支給要件についても緩和し、青森、岩手、宮城、福島、茨城の5県のうち災害救助法適用地域に事業所がある場合は、最近1カ月の生産量、売上高等がその直前の1カ月または前年同期と比べ5%以上減少していれば対象とするとしている。なお平成23年6月16日までは、災害後1カ月の生産量、売上高等がその直前の1カ月または前年同期と比べ5%以上減少する見込みの事業所も対象となる
●  首都圏で計画停電により事業活動が縮小した場合も対象に
  雇用調整助成金(中小企業緊急雇用安定助成金を含む)は、経済上の理由で事業活動が縮小した場合に従業員の雇用を維持するために、一時的に休業等を行った場合、その休業等に係る休業手当相当の一部(中小企業の場合8割)を助成する制度となっている。
  今回、助成金の支給要件が緩和されているのは、限定した被災地となるが、東京、神奈川、千葉、埼玉など首都圏の事業所でも計画停電で事業活動が縮小した場合にも、通常の要件を満たせばこの助成金は活用することができる。それは、今回の助成金の支給要件として、東北地方太平洋沖地震被害に伴う「経済上の理由」で事業活動が縮小した場合という要件が追加されたからである。
  ここでいう「経済上の理由」とは、「人的・物的交通の阻害または途絶、需要の減少または集客の困難、従業員の出勤困難、事業所や設備等が破損し、修理業者の手配や修理部品の調達が困難なため」などが該当するが、それ以外の理由でも全体的にみて「経済上の理由」に該当するかを判断することになる。なお、東北地方太平洋沖地震を直接的な理由(避難勧告・避難指示など法令上の制限を理由とするもの等)とした事業活動の縮小については、「経済上の理由」に該当しないとされており、助成金の対象外となるので注意が必要である。
●  雇用調整助成金は、変更が多いので申請手続きには事前確認が必要
  雇用調整助成金を受給するためには、この助成金の支給要件に該当する事業主であることを示すさまざまな書類を提出するとともに、これにあわせて休業等の計画を事前に届け出る必要がある。ポイントは、とにかく休みに入る前に計画を出すということなので、担当者は余裕をもって取り組むことができるように基本的な流れなどは頭に入れておきたいところである。相談や申請の窓口は、事業所を管轄するハローワークになるが、支給要件、添付書類、支給額など変更が多い助成金なので、常に情報には敏感になっていなければならない。
  書類に関しては、労働者の人数にもよるが、大量の資料を提出することも多いので、窓口の人が見てチェックしやすいように工夫することも、スムーズに申請手続きを進めるテクニックであるということを忘れてはならない。

参考: 厚生労働省 http://www.mhlw.go.jp/general/seido/josei/kyufukin/a09-1.html
(庄司 英尚 株式会社アイウェーブ代表取締役、
庄司社会保険労務士事務所代表、社会保険労務士)
2011.04.04
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