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気になる遺族年金、生命保険特別措置
  今回の震災にあたり、被災者保護のため、下記の特別措置が講じられた。
●  遺族年金
  厚生労働省は東日本大震災による行方不明者を死亡したと推定する期間について、「災害から1年」を「災害から3カ月」に短縮することを決めた。国民年金法や厚生年金法では、遺族年金を支給申請するには、死亡が認定される必要があり、普通失踪の場合には7年、災害の場合には災害後1年以上で死亡が認定される。しかし、今回の震災では、残された家族の生活を一日でも早く再建できるようにとの配慮から、遺族年金の支払いを早めることとなった。早ければ6月から受給できることになる。
●  生命保険
(1)   災害割増特約とは、災害や事故、感染症(感染症予防・医療法で定める1〜3類感染症)で死亡または高度障害になったときに、主契約である死亡または高度障害保険金に割り増しして災害割増保険金を受け取れる特約のことをいう。ただし、免責事項には
・地震・噴火・津波などの自然災害による事故の場合
・戦争、クーデターその他の紛争での事故の場合
などとなっており、保険金を支払わなかったり、減額したりすることができる。しかし、今回の東日本大震災により被災した方の契約については、地震による免責事項は不適用となり、災害関係保険金は全額支払われることとなった。
(2)   被災者が保険に加入していた場合でも、どこの保険会社に加入していたか不明な方も多い。また、証券や書き留めておいた書類が津波によって流されてしまい、加入していた保険内容がわからない方も多い。そのため、被災者から保険各社に問い合わせがあった場合、他社の契約であっても、生命保険協会を通じて契約先の会社を探し、契約している会社や契約内容などを案内できることとなった。
(3)   生命保険料支払い猶予
保険料の払込がない場合には、払込方法によっては異なるが、2カ月もしくは3カ月で失効となってしまうが、災害救助法適用地域の方については、6カ月まで支払いが猶予されることとなった。ただし、延長してもらうには、各社への連絡が必要である。
  (2)、(3)については損害保険でも同じ措置が取られるようになった。
●  契約者貸付
  保険の契約は続けたいが、「生活資金を確保したい」「家を修理したい」などの場合に「契約者貸付」という制度がある。一般的には、解約返戻金の8割から9割を上限として借りることができ、その場合の金利は、契約によっても異なる。しかし、今回の震災で被災された契約者には貸付金額100万円までは、金利を1.5%に引き下げることになった。受付は6月まで、金利適用は12月までである。
(ファイナンシャル・プランナー(CFP)、株式会社FPウィム代表 伊田 賢一)
2011.04.11
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