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今月中の法案成立目指す「復興法案」〜民主党
●  被災企業に法人税繰戻し還付を
  民主党は3月31日、東日本大震災に伴う税制対応を始めとする「特別立法チーム」に提出する被災地などでの復旧・復興対策案をまとめた。これをベースに同党は、統一地方選挙の日程の終了後、4月11〜13日にかけて各党の政調関係との協議を行い、連休前の4月中には第1次補正予算および「復興法案」を成立させたい意向だ。
  税制面では、まず中小企業、小規模事業者、大企業への税制対応として、
(1)   被災企業への法人税の繰戻し還付を行うべき
(2)   車や船を含め、被災した資産の代替資産に係る特別償却、事業用資産の買換特例を設けるべき
(3)   被災地復興のための土地譲渡について課税の特例を設けるべき
(4)   代替建物取得の際の登録免許税の免除を行うべき
(5)   震災により酒瓶が割れるなどの被害を受けた際の酒税の還付を迅速に行うべき
(6)   復興につながる設備投資などを行った法人・事業者に対しては、税負担軽減措置等を講ずるべき
などと提言している。
●  仮に法人税率引下げ留保の場合は租特の廃止等も留保すべき
  さらに、震災の影響は東北地方のみならず、国内全体の企業活動に波及し始めており、国内企業の海外移転により国内産業空洞化が全国的に進むおそれがあり、2011年度税制改正案には、法人実効税率引下げなど、企業立地環境改善のための税制も含まれているが、これを前提に設備投資計画を組んでいる企業も多いことから、引き続き続き法案成立に向けた努力を続けるべきだとしている。
  なお、財源確保の関係で法人実効税率引下げを仮に留保することについては慎重な検討を要するが、留保する場合は、見合い財源として予定していた租税特別措置等の廃止・縮減も留保すべきとの考えを示した。そのほか、外国企業の呼び込みが停滞するおそれがあり、企業立地環境改善の観点も踏まえた取組みや、赤字法人等への対応として、雇用保険料の事業主負担の見直しも政府全体で検討すべき、としている。
●  震災前の相続・贈与は震災直後の価額で評価
  次に、個人への税制対応としては、
(1)   住宅や家財等の損失に係る雑損控除及び災害減免法による減免について、2010年分所得で適用できるようにするとともに、事業用資産の損失について、2010年分の事業所得の計算上、必要経費に算入することができるようにすべき(3月12日野田財務大臣表明)
(2)   住宅等が滅失しても、住宅ローン控除を継続適用できるようにすべき
(3)   相続税・贈与税について、震災前の相続・贈与で申告期限が震災後のものは、震災直後の価額によるようにすべき
(4)   地方においては車が生活必需品であり、震災復興にも不可欠であることから、自動車取得税をはじめとする自動車関連諸税の減免などにより、震災で車を失った人への負担の軽減を図る措置を実施すべき
(5)   NPO法人等への寄附金控除の大幅な拡充案については、2011年度税制改正案に含まれているが、早期の成立を図るべき
などの意見を掲げている。
(浅野宗玄 税金ジャーナリスト、株式会社タックス・コム代表)
※タックス・コム発行図書 「中小企業のための生命保険講座(経営者編)」など
 → http://www.taxcom.co.jp/h22_seimeihokenkouza/index.html
2011.04.11
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