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社会保険の報酬の範囲とは?
●  経営者等も社会保険の基本的知識を身につけることは重要
  新入社員が入社するこの時期は、各企業で新入社員研修が行われている。実際に企業を訪問して経営者や人事部の人たちに話を聞いてみると、社会人としてのビジネスマナーに関する研修は行ってはいるが、社会保険や給与の仕組みについてメニューを設けている企業および研修会社は少ない。
  新入社員には初めての給与が支払われるが、経営者や管理職は彼らから社会保険について質問されても困らないように、基本的な知識は身につけておきたいところである。そのようなわけで今回は、すべての人にとって大切な社会保険の報酬の範囲について、注意すべき点や報酬に該当するもの、該当しないものについて基本的なことを中心にまとめておきたいと思う。
●  通勤手当はその全額が報酬
  社会保険上の「報酬」とは、「賃金」「給料」「手当」「賞与」などの名称を問わず、労働者が労働の対償として受けるすべてのものとなっている。もちろん金銭(通貨)に限らず現物で支給されるものも含むが、臨時に受けるものや年3回以下の賞与などは該当しないので注意が必要である。しかしながら4回以上支払われる賞与については、社会保険上では報酬に含まれる。
  また勘違いしやすいところとして、通勤手当は、税金では100,000円まで非課税となっているが、社会保険では、このような取り扱いはされず、通勤手当の全額を報酬に含めなければならない。したがって同じ会社で同じ年齢、同じ給与の新入社員同士でも通勤手当が違えば、健康保険料や厚生年金保険料は違うということもある。
●  現物支給の食事や社宅も報酬に算入する
  報酬に該当するものと該当しないものについては、しっかり理解しておく必要があるので下記に整理してまとめておく。
  最後に、現物で支給される食事や社宅などについては厚生労働大臣が都道府県ごとに告示で定めた標準価額にもとづいて、通貨に換算したうえで報酬に算入することになるということも覚えておきたいところである。
   報酬に該当するもの
基本給、諸手当(残業手当、通勤手当、住宅手当、家族手当、役付手当、勤務地手当、日・宿直手当、勤務手当、能率手当、精勤手当など)、賞与(年4回以上のもの)
現物で支給される食事・食券、通勤定期券、社宅など
   報酬に該当しないもの
賞与(年3回以下のもの→標準賞与額の対象)
大入袋、見舞金、解雇予告手当、退職金、出張旅費、交際費、慶弔費など
参考: 日本年金機構 http://www.nenkin.go.jp/index.html
(庄司 英尚 株式会社アイウェーブ代表取締役、
庄司社会保険労務士事務所代表、社会保険労務士)
2011.04.18
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