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災害に関する法人税、消費税等の取扱いFAQを公表〜国税庁
  国税庁はこのほど、このたびの東日本大震災の発生に伴い、災害に関する法人税、消費税及び源泉所得税の取扱いについて、よくある質問を取りまとめ、FAQとして公表した。今回の東日本大震災に関する税務上の取扱いは、地震発生直後に公表された申告・納付等の期限の延長措置を始め、相次いで公表されているところだが、このFAQは法人税、消費税、源泉所得税にしぼってその取扱いを整理したものといえる。
  法人税関係は、申告期限の延長を始め復旧のために支出する費用など28項目、消費税関係は、帳簿及び請求書等の保存、従業員や取引先に対する災害見舞金など4項目、源泉所得税関係は、災害見舞金の支給など5項目の計37項目が掲載されている。
  ここでは、災害見舞金に関する各税目の取扱いを紹介したい。
●  被災取引先の役員や使用人への災害見舞金は交際費等
  法人税関係では、取引先に対する災害見舞金が交際費等に該当しないものとして取り扱われる金額の程度に関する質問に対し、その取引先の被災の程度、取引先との取引の状況等を勘案した相応の金額であれば、その金額の多寡は問わないと回答している。
  ただ、災害見舞金を支出した場合に、取引先から領収書の発行を求め難い事情も考えられるため、法人の帳簿書類に支出先の所在地や名称、支出年月日を記録しておく必要性を補足している。
  また、法人が被災した取引先の役員や使用人に対して個別に支出する災害見舞金は、個人事業主に対するものを除き、取引先の救済を通じてその法人の事業上の損失を回避するというよりは、いわゆる付き合い等としての性質を有するものと考えざるを得ないことから、このような支出は交際費等に該当するものとして取り扱われると説明している。
  そのほか、法人が受けた義援金や見舞金の収入金額は益金に算入されるとした。一方で、災害により被害を受けた法人の有する商品や店舗、事務所等の資産の損失額は、損金に算入されるわけだ。
●  被災した従業員や役員への見舞金の支給は源泉徴収不要
  消費税関係では、従業員や取引先に対して金銭により支出する災害見舞金は、消費税の課税対象ではないため、不課税取引となることから、支出した事業者における課税仕入れにも、受け取った事業者における課税売上にも該当しないとしている。
  源泉所得税では、個人が心身または資産に加えられた損害につき支払いを受ける相当の見舞金(役務の対価たる性質を有するものを除く)については、所得税は課されないとした上で、災害見舞金について、法人が被災した従業員や役員に対し、住宅や家財の損害の程度に応じて災害見舞金を支給することとした場合、会社が、被災者の所有資産の損害の程度(全壊、半壊、床上浸水、床下浸水など)に基づき支給額を定めるなど、損害の程度に応じて一定の基準をもって見舞金の支給額を定めている場合には、「相当の見舞金」に該当すると考えられるため、給与として源泉徴収をする必要はないと説明している。
  また、従業員や役員の父母等の家屋が災害により被害を受けたことで、従業員や役員に対し一定の見舞金を支給するケースでは、個人が支払いを受ける葬祭料、香典または災害等の見舞金で、その金額がその受贈者の社会的地位、贈与者の関係等に照らし社会通念上相当と認められるものについては、課税しないものとされているとした上で、会社が、従業員や役員に対し、従業員や役員と被災した親族との関係、被災の程度に応じた一定の基準により見舞金を支給する場合には、その支払われる見舞金が社会通念上相当なものと認められるときは、給与として源泉徴収する必要はないと解説している。

  同FAQの全文は↓
http://www.nta.go.jp/sonota/sonota/osirase/data/h23/jishin/pdf/hojin_shohi_gensenshotokuFAQ.pdf
(浅野宗玄 税金ジャーナリスト、株式会社タックス・コム代表)
※タックス・コム発行図書 「中小企業のための生命保険講座(経営者編)」など
 → http://www.taxcom.co.jp/h22_seimeihokenkouza/index.html
2011.04.18
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