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適格退職年金制度〜廃止まで残り1年
  「適格退職年金制度」とは、企業が金融機関を通じて年金資産を積み立てる仕組みです。この制度は、法人税法の規定により、平成24年3月末での廃止が決まっています。制度の廃止期限までに、他の企業年金(厚生年金基金、確定給付企業年金、確定拠出年金)や中退共(中小企業退職金共済制度)へ移行しない場合には、平成24年4月以降、税制上の優遇措置が受けられなくなります。
●  移行手続きの簡素化(平成23年3月末〜)
  本年3月末より、閉鎖型適格退職年金(※)から確定給付企業年金へのさらなる移行促進を図るため、移行手続きの簡素化が実施さています。一定要件を満たす「受託保証型確定給付企業年金」については、事業・決算報告書の一部省略などが実施されています。主な内容は下記のとおりです。
◇ 閉鎖型確定給付企業年金における手続きの簡素化
   閉鎖型確定給付企業年金については、受給者のみで構成されているという性格を考慮し、規約の承認申請における添付書類のうち、労働協約や加入者の範囲の書類等の省略を可能としました。
◇ 受託保証型確定給付企業年金における手続きの簡素化
   将来にわたり、年金資産が給付のために積み立てておくべき額を下回らず、積立不足が生じない形態で運用されている確定給付企業年金を「受託保証型確定給付企業年金」とし、以下の措置を講じました。
   事業報告書や決算報告書の記載事項等の一部省略を可能とする
   責任準備金および最低積立準備額の計算において、予定利率および予定死亡率の特例を設ける
   適格退職年金の権利義務を受託保証型確定給付企業年金に承継させる場合については、当該受託保 証型確定給付企業年金と当該事業所の既存の確定給付企業年金との併存を可能とする
●  移行準備はお早めに
  適格退職年金以外の企業年金は、事業主掛金を損金算入できる点では適格退職年金と同様ですが、従業員の年金受給権が保護され、従業員の老後所得の確保がより確実になります。従業員の安心は企業にとっても魅力ある人材確保、魅力ある企業づくりに欠かせないものです。また、企業年金等への移行には、制度設計・労使合意・行政の認可などの手続きが必要です。移行完了までには1年半〜2年程度かかりますので、早めの移行準備をお勧めします。
※閉鎖型適格退職年金:加入者がおらず、受給者のみで構成された適格退職年金
出所:厚生労働省ホームページ
(特定社会保険労務士 野上 幸彦)
2011.04.25
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