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人口推計をみて考えること
●  平成23年3月時点での総人口は1億2,796万人
  先日、総務省統計局より「人口推計−平成23年3月報−」が発表された。
  これによると、日本の総人口(概算値)は1億2,796万人であり、年代ごとにみると以下のとおりである。
  
0〜14歳人口
   1,692万人   総人口に占める割合    13.2%   
15〜64歳人口
   8,139万人      63.6%   
65歳以上人口
   2,964万人      23.2%   
●  年代ごとの人口から公的年金の姿を想像すると
  ご存じのとおり、日本の公的年金は原則65歳からの支給となっている。65歳以上人口の割合から、ほぼ4人に1人が「年金受給世代」となっていることがわかる。
  一方、全国民が加入する国民年金は20歳〜60歳までが原則の加入年齢であり、これを「保険料支払世代」とすると、この層の人口は(上の表に記載はないが)6,500万人程度となっている。人口構成から考えれば、大ざっぱに言って「2人の保険料支払世代で1人の年金受給世代を支えている」ことになる。
●  平成23年度の国民年金の保険料は月額15,020円だが…
  さて、毎年のように上がり続けてきた国民年金保険料だが、平成23年度は前年度に比べて80円下がり、15,020円となっている。これは、本来15,260円となるべきであったものが、消費者物価指数や過去の賃金下落率などを勘案した保険料改定率が0.984となったため下がったものだ(15,260円×0.984≒15,020円)。この15,020円を1年間支払ったとすると約18万円になるが、一方で国民年金に40年間加入した場合にもらえる年金額は約79万円である。
  公的年金の考え方は「世代間扶養」であり、現役世代の支払った保険料で年金受給者を支える形が基本となっている。2人の現役世代が18万円ずつ(計36万円)支払って、年金受給世代は79万円の年金をもらうわけである。過去の積立金があるとはいえ、これだけでは台所事情は大赤字で、たちどころに破綻してしまう。そのため半分を国庫負担としているのだが、この国庫負担についても財源をどこに求めるのかについて不透明な状態が続いている。
  もちろん、保険料を支払っていない期間に相当する分がもらえなかったり、死亡率等を加味した数理計算などを取り入れているために、公的年金の仕組みはこれほど単純ではないのだが、そのようなことを割り引いても年金財政が立ち行かなくなるかもしれないという議論がなされるのも自然なことかもしれない。
●  働き盛りの年代までは男性の方が多い
  人口の男女比を見ると、男性6,229万人に対し、女性が6,567万人となっており、男女比では女性の方がやや多い(男性48.7%:女性51.3%)。
  しかし、年代階級別に5歳刻みでみると、49歳までは男性の方が多く、50歳以降に逆転して女性の方が多くなっている。ただし、平均寿命は女性の方が長いように、75歳以上人口では、女性が男性の1.5倍以上となっている。
  「働けるだけ働かされ、老後は女性パワーに押し切られるというのが世の男性の姿」と感じるのは、男性である筆者の思い過ごしであろうか。
    <年齢(5歳階級)・男女別人口〕> (単位:万人)
  
年齢階級
総数 6,229 6,567
0〜4歳 279 265
5〜9歳 283 270
10〜14歳 305 290
15〜19歳 310 296
20〜24歳 341 325
25〜29歳 379 362
30〜34歳 415 402
35〜39歳 491 479
40〜44歳 446 438
45〜49歳 406 402
50〜54歳 381 382
55〜59歳 419 427
60〜64歳 508 531
65〜69歳 381 418
70〜74歳 327 378
75〜79歳 267 343
80〜84歳 176 269
85歳以上 116 290
総務省統計局:「人口推計−平成23年3月報−」
http://www.stat.go.jp/data/jinsui/pdf/201103.pdf
2011.04.25
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