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東日本大震災の影響で、企業の約6割が需要減に
●  震災の影響や復興支援の企業側の意識を調査
  帝国データバンクでは、東日本大震災の影響等を中央政府や地方自治体、各経済団体などへ早急に届け、日本が一丸となって復興策をまとめる一助とすることを目的として、「震災の影響と復興支援に対する企業の意識調査」を実施した。調査期間は2011年3月23日〜31日で、調査対象は全国2万2,097社、有効回答企業数は1万747社(回答率48.6%)と比較的多いことから大変参考になるデータといえる。
●  企業の77.9%が震災による影響あり
  東日本大震災による自社への影響について尋ねたところ、「影響はある(見込み含む)」と回答した企業は、77.9%で全体の約8割となった。一方、「影響はない(見込み含む)」は7.3%だった。
  「影響はある(見込み含む)」を地域別にみると、『東北』(同84.5%)や『南関東』(同82.4%、)、『北関東』(同81.8%)で影響のある企業の割合が8割を超えた。地震や津波による被害に加えて、原発事故や計画停電など、大震災の影響がさまざまな企業活動に広がっている様子がうかがえる。また、直接の被災地ではない『九州』(同68.0%)においても7割近くとなっており、震災の影響は何らかの形で全国の企業に及んでいる。
  業界別では、『運輸・倉庫』(同81.1%)と『卸売』(同80.4%)、『製造』(同80.0%)が8割以上となったほか、『小売』(同79.3%)も高かった。また、規模別では、『大企業』(同80.4%)が8割超、『中小企業』(同77.1%)や『小規模企業』(同74.2%)でも7割を超えており、規模にかかわらず影響を受ける企業は多い。とりわけ、企業体力が比較的弱い、規模の小さい企業への影響が懸念される。
●  復興を支援する取り組みは、約7割が実施または検討
  東日本大震災による自社への影響についてその内容を尋ねたところ、生産、販売、サービス、取引など企業活動全般について「需要が減少(見込み含む)」と回答した企業が36.0%で「需要がやや減少(見込み含む)」の21.6%と合わせると、約6割の企業で需要が減少すると捉えている。
  一方で、震災からの復興時に需要が増加するという企業も約5 社に1 社の割合であり、増加が見込まれる分野で日本経済を下支えする構造になりそうである。
  被災地や被災者への募金、飲食料品や衣類、医薬品など物的支援、被災地との取引活動など、復興を支援する取り組みに関する対応状況について尋ねたところ、「支援を行っている、もしくは行う見込みである」と回答した企業が、50.1%となった。半数以上の企業がすでに支援活動を実施しているか実施する見込みである。また、「支援を検討している」と回答した企業18.8%と合わせると、約7割の企業がすでに実施または検討している。
  復興支援については、地域に関係なく日本全体で継続していくことが何よりも大事であるが、復興を支援しようとしている企業がこれだけ高い割合を占めていることは今後の日本再生にはとても明るい材料であるといえるだろう。
参考: 帝国データバンク TDB景気動向調査(特別企画):震災の影響と復興支援に対する企業の意識調査
http://www.tdb.co.jp/report/watching/press/keiki_w1103.html

(庄司 英尚 株式会社アイウェーブ代表取締役、
庄司社会保険労務士事務所代表、社会保険労務士)
2011.05.09
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