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東日本大震災への支援税制法案の第一弾が成立
●  被災事業用資産の損失も前倒しで必要経費算入
  政府が東日本大震災に伴い被災者や被災企業の支援税制の第一弾として国会に提出していた「東日本大震災の被災者等に係る国税関係法律の臨時特例に関する法律案」などの支援税制が4月27日、国会において成立した。所得税関係では、雑損控除の特例や災害減免法による所得税の減免措置を2010年分所得で前倒しで実施するほか、法人税関係では、震災損失の繰戻しによる法人税額の還付などを盛り込んだ。主な支援措置は次の通り。
  所得税関係では、まず、住宅や家財等に係る雑損控除について、2010年分所得での適用を可能とし、雑損控除を適用した年分に控除しきれない損失額についての繰越期間を5年(現行3年)とする。住宅や家財の損失に係る災害減免法の適用について、2010年分所得での適用を可能とする。
  また、被災事業用資産の損失についても、2010年分所得の計算上、その必要経費への算入を可能とし、青色申告者は、被災事業用資産以外の損失を含め2010年分所得で純損失が生じた場合には、さらに2009年分所得への繰戻還付を可能とする。被災事業用資産の損失による純損失の繰越可能期間を5年(現行3年)に延長し、保有資産に占める被災事業用資産割合が1割以上の場合、被災事業用資産以外の損失を含め繰越可能な純損失の繰越期間を5年とする。
●  災害損失の全額を2年間までさかのぼって繰戻し還付
  法人税関係では、2011年3月11日から2012年3月10日までに終了する事業年度において、法人の欠損金額のうちに震災損失金額がある場合には、その震災損失金額の全額を2年間までさかのぼって繰戻し還付を可能とする。2011年3月11日から2012年3月10日までに中間期間が終了する場合、仮決算の中間申告により、震災損失金額の範囲内で、法人税額から控除しきれない利子・配当等に係る源泉所得税額の還付を可能とする。
  2011年3月11日から2016年3月31日までに、(1)被災した資産(建物、構築物、機械装置、船舶、航空機、車両)の代替として取得する資産、(2)被災区域内において取得する資産(建物、構築物、機械装置)について、特別償却を可能とする。償却率は、2014年3月31日以前に取得した場合、建物・構築物について15%(中小企業者等は18%)、機械装置・船舶・航空機・車両については30%(中小企業者等は36%)とし、2014年4月1日以降に取得した場合はこれらの3分の2の率とする。
●  住宅取得等資金の贈与税の特例措置に係る居住要件を免除
  資産税関係では、住宅取得等資金の贈与税の特例の適用を受けようとしていた住宅が、大震災により滅失して居住できなくなった場合には、その住宅への居住要件を免除する。贈与された住宅取得等資金について贈与税の特例を受けようとしていた者が、大震災により居住要件を満たせない場合、居住期限を1年延長するなどの措置を講じる。
  法律の施行の日4月27日の翌日28日から2021年3月31日までに、大震災により滅失・損壊した建物に代えて新築または取得する建物およびその敷地の用に供する土地に係る所有権の保存登記等に係る登録免許税を免税とする。
  資産税関係の「住宅取得等資金の贈与税の特例措置に係る居住要件の免除措置」は阪神・淡路大震災時にはなかったものだが、そのほか、「大震災関連寄附に係る寄附金控除の拡充」や「被災した船舶・航空機の再建造等に係る登録免許税の免税」「建設工事の請負に関する契約書等の印紙税の非課税」「被災自動車に係る自動車重量税の特例還付」「被災者の買換え車両に係る自動車重量税の免税措置」などの支援税制を新たに盛り込んでいる。

参考資料:国税関係の臨時特例に関する法律案要綱↓
http://www.mof.go.jp/about_mof/bills/177diet/ss230419y.pdf
(浅野宗玄 税金ジャーナリスト、株式会社タックス・コム代表)
※タックス・コム発行図書 「中小企業のための生命保険講座(経営者編)」など
 → http://www.taxcom.co.jp/h22_seimeihokenkouza/index.html
2011.05.09
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