>  今週のトピックス >  No.2234
2009年度赤字法人割合は過去最高の72.8%に
●  世界同時不況による企業収益の低迷が鮮明
  国税庁がこのほど公表した「2009年度分税務統計から見た法人企業の実態調査」結果によると、2009年度分の法人数は261万7,064社で、前年度より0.5%増加した。このうち、連結親法人は820社で同9.6%増、連結子法人は6,355社で同1.6%増。連結子法人を除いた261万709社のうち、赤字法人は190万157社で、赤字法人割合は前年度から1.3ポイント増の72.8%となり、1951年分の調査開始以来過去最高の割合となった。
  2009年度分の営業収入金額は、前年度に比べ▲6.7%の1,324兆1,457億円と2年連続で減少した。黒字法人の営業収入金額も同▲11.1%の741兆5,003億円で2年連続の減少、所得金額も同▲14.0%の30兆3,024億円で3年連続の減少と、ともに前年を大きく下回り、2008年秋のリーマン・ショックに端を発した世界同時不況による業績悪化での企業収益の低迷が鮮明となっている。営業収入に対する所得金額の割合(所得率)は、前年から0.1ポイント低下の4.1%となった。
  黒字法人の益金処分総額は前年比▲19.2%の35兆2,859億円。内訳は、支払配当が同▲32.9%の6兆9,312億円(構成比19.6%)、法人税額が同▲12.6%の7兆7,919億円(同22.1%)、その他の社外流出が同▲23.0%の4兆9,877億円(同14.1%)で、これらを引いた社内留保が▲13.2%の15兆5,751億円と44.1%を占めた。なお、役員賞与は、会社法創設に伴い、2006年5月1日以後終了する事業年度から利益処分項目ではなくなっている。
●  交際費は3年連続減少の約3億円
  一方、2010年3月までの1年間に全国の企業が取引先の接待などに使った交際費は、前年度に比べ▲7.1%の2兆9,979億円となり、3年連続で減少し、過去最高だった1992年分の6兆2,078億円に比べほぼ半減した。このうち、税法上損金に算入されなかった金額(損金不算入額)は同▲26.5%の1兆1,839億円と3年連続で減少し、損金不算入割合も、前年より10.4ポイント減の39.5%と初の40%割れとなった。
  営業収入金額10万円あたりの交際費等支出額は、全体では前年度より1円少ない226円で、資本金1千万円未満が678円と高い一方、資本金が多くなるにつれ減少し、資本金10億円以上は110円と低い。また、業種別にみると、「建設業」が533円、「不動産業」が468円、「出版印刷業」が341円と高く、一方、「機械工業」および「卸売業」が148円、「鉱業」「小売業」および「金融保険業」が171円と低くなっている。
●  寄附金は3年連続増加の5,467億円
  寄附金の支出額は、前年度に比べ10.7%増の5,467億円となり、3年連続で増加した。内訳は、国、地方公共団体に対する寄附金や財務大臣が指定した、いわゆる「指定寄附金」が同36.4%増の1,726億円、教育・科学の振興、文化の向上、社会福祉への貢献その他公益の増進に著しく寄与する法人で一定の公共法人、公益法人等に対する「特定公益増進法人寄附金」が同17.7%増の824億円、「その他の寄附金」が同▲1.9%の2,917億円となっている。
  営業収入金額10万円あたりの寄附金支出額は、全体では41円で、これを業種別にみると、「運輸通信公益事業」が155円ともっとも高く、次いで「化学工業」が112円の順、一方、もっとも低いのは「卸売業」で14円、次いで「小売業」が22円となっている。

参考資料:同実態調査結果の詳細は↓
http://www.nta.go.jp/kohyo/tokei/kokuzeicho/kaishahyohon2009/pdf/gaiyou.pdf
(浅野宗玄 税金ジャーナリスト、株式会社タックス・コム代表)
※タックス・コム発行図書 「中小企業のための生命保険講座(経営者編)」など
 → http://www.taxcom.co.jp/h22_seimeihokenkouza/index.html
2011.05.16
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