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国の借金、今年度内に1,000兆円突破も
●  3月末で924兆3,596億円と過去最高を更新
  2011年度中に国の借金が1,000兆円の大台を突破する可能性が高くなった。
  財務省の発表によると、国債や借入金、政府短期証券を合わせた「国の借金」が今年3月末(2010年度末)で924兆3,596億円に達し、過去最高を更新、最大規模となる44兆円強の新規国債発行で、前年度末比41兆4,361億円増えた。
  同省は、2011年度末には997兆円を上回るとしているが、震災復興へ国債増発が避けられそうになく、さらに厳しい財政運営を迫られそうだ。
  同省がまとめた2010年度末時点での「国債及び借入金並びに政府保証債務現在高」によると、国の借金は国債が758兆5,690億円(2010年12月末比4兆7,610億円増)、政府短期証券が110兆7,847億円(同4,977億円増)、借入金が55兆58億円(同502億円減)。国債のうち普通国債は636兆3,117億円、財投債(財政投融資特別会計国債)は118兆1,918億円。借金の総額を2010年12月末と比べると、5兆2,084億円増えた。
●  避けられない震災復興財源としての国債増発
  財務省が1月に示した見通しでは、2010年度末時点での借金残高が943兆円に達するとしていた。しかし、借換債(前倒し債)の発行額を補正後予算額の20兆円に対して17兆円に、36兆7,000億円を予定していた赤字国債の発行も34兆7,000億円にそれぞれとどめたことなどから、これを下回り924兆3,596億円となったものだ。
  ただし、今後、震災復興財源としての国債増発は避けられない状況にある。
  景気の持ち直しで3月期決算企業の法人税収が回復するとみて、予定していた国債発行を見合わせていたが、震災の影響で最終的に税収が伸び悩めば、差額分を埋めるため2011年度の国債発行額が膨らむ懸念がある。
  加えて、震災復興のため政府がまとめる同年度第2次補正予算の規模が「20兆円に限りなく近くなる」(民主党の安住淳国会対策委員長)との指摘もあり、2011年度末の時点で借金が1,000兆円を大きく上回る可能性が高くなった。
●  国民1人あたり約722万円の借金
  なお、この「国の借金」924兆3,596億円は、2010年度一般会計予算の歳出総額92兆2,992億円の約10倍、同年度税収見込み額37兆3,960億円の24.7倍である。年収500万円のサラリーマンが1億2,350万円の借金を抱えている勘定だ。
  また、わが国の今年4月1日時点での推計人口1億2,797万人(総務省統計、概算値)で割ると、国民1人あたりの借金は、昨年12月末時点からほぼ横ばいの約722万円となる。
  今後は、社会保障制度の安定財源および財政再建に加えて東日本大震災の復興財源を確保することが重要課題となるなか、消費税を中心とした税制の抜本改革は待ったなしの状況にあることはいうまでもない。
(浅野宗玄 税金ジャーナリスト、株式会社タックス・コム代表)
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2011.05.23
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