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震災の影響を受けた中小企業への資金繰り支援
  政府は平成23年度補正予算等により、このたびの東日本大震災により影響を受けた中小企業の復旧に向け、資金繰り支援を強化している。以下、一部ではあるが、それらの制度について見てみたい。
●  東日本大震災復興特別貸付(日本公庫等)および危険対応業務(商工中金)
  被災中小企業者等を対象に、事業の復旧に必要な設備資金、運転資金を長期・低利で融資する制度であり、貸付の対象としては、「地震、津波等により直接被害を受けた中小企業者」「原発事故等に係る警戒区域等の区域内の中小企業者」「これらの事業者等の事業活動に相当程度依存している中小企業者」「その他、震災の影響により、業況が悪化している中小企業者」とされている。
  融資の申込みは、日本政策金融公庫(以下、日本公庫)や商工組合中央金庫(以下、商工中金)等に行うこととなっており、融資内容の概略は以下の通りである。
  
 貸付限度額
   日本公庫(中小事業)・商工中金 7億2,000万円
   日本公庫(国民事業) 4,800万円  
   *所定の要件を満たすことにより、さらに別枠で利用可能な場合あり
 貸付期間・据置期間  設備資金15年以内、運転資金8年以内(据置期間:最大3年)
 貸付利率
   日本公庫(中小事業)・商工中金 1.75%
   日本公庫(国民事業) 2.25%  
   *貸付期間5年以内の基準利率(平成23年4月末現在)
*利率は、担保、財務状況、返済期間等により変動
●  東日本大震災復興緊急保証(信用保証協会)
  金融機関から、事業の再建、経営の安定に必要な資金の借入を行う場合の保証を信用保証協会が行うことにより、円滑な資金の調達を可能とする制度として新設され、一般保証やセーフティネット保証・災害関係保証とは別枠で取り扱われる。保証の対象となるのは、政令によって指定された特定被災地域内の、「震災の影響により業況が悪化している中小企業者」「地震、津波等により直接被害を受けた中小企業者」「原発事故等に係る警戒区域等の区域内の中小企業者」、さらに、特定被災地域外であっても、「特定地域区域内の事業者と取引関係があり、かつ、震災の影響により業況が悪化している中小企業者」「震災に起因した風評被害による契約の解除等の影響で急激に業況が悪化している中小企業者」とされている。保証内容の概略は以下の通りである。
  
 保証限度
無担保で8,000万円、最大で2億8,000万円
   一般保証、セーフティネット保証・災害関係保証とは別枠
   セーフティネット保証・災害関係保証と合わせて1億6,000万円、最大で5億6,000万円まで利用可能
 保証料率  0.8% 以下(詳しくは各保証協会への問い合わせが必要)
●  一日も早い復旧に向けた役割に期待
  その他、既存の制度を有効に活用することができる場合もある。例えば、セーフティネット保証(5号)は、国が指定する対象業種に属する企業において、震災被害に限らず、売上減少など業況が悪化している中小企業者を対象として金融機関からの借入に対する保証を行う制度である。
  なお、各制度の活用においては、所定の要件を満たすことが必要であり、融資や保証の決定のために審査が行われる。
  以上、政府支援の一部について取り上げてみたが、災害により直接被害を受けた企業はもちろんのこと、取引先が被災したことによってダメージを受けた企業も少なくなく、このような支援策が、被災企業や災害によって影響を受けた企業の一日も早い復旧に対する力となることが期待されている。
参考資料:中小企業庁「中小企業向け支援策ガイドブックver.03」
http://www.chusho.meti.go.jp/earthquake2011/download/EqGuidebook-ver3.pdf
2011.06.06
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