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2010年分確定申告、還付申告者数が6年ぶり減少
●  確定申告書提出者数は2年連続減少
  国税庁がこのほど発表した2010年分所得税等の確定申告状況によると、所得税の確定申告書を提出した人は、前年を2.2%下回る2,315万人となり、11年ぶりに減少した前年に引き続き減少した。これは、景気の低迷により申告納税額がある人(納税人員)が同2.2%減の702万1千人と5年連続で減少したことに加え、還付申告者数が同2.5%減の1,267万3千人と2004年分以来の減少となったことが要因とみられている。
  納税人員の減少に伴い、その所得金額は前年を2.0%下回る34兆6,958億円、申告納税額は、同1.3%下回る2兆2,431億円となり、それぞれ4年連続、3年連続で減少した。申告納税額は、ピークの1990年分(6兆6,023億円)の約3分の1にあたる。
  なお、還付申告者数は、前年まで5年連続で過去最高を更新していたが、2010年分は6年ぶりの減少となった。ただ、申告者全体の約55%を占めていることに変わりはない。
  なお、東日本大震災により青森県、岩手県、宮城県、福島県および茨城県の5県については、国税の申告・納付等の期限が延長されているが、これらの地域における、2011年3月末日現在の所得税の確定申告書を提出した人員は、前年に比べ約11%減の約160万人となっている。
●  IT利用の申告書提出人員は8%増の1,039万6千人
  以上のように、2010年分所得税等の確定申告では、所得税の申告書提出件数が2,315万件で2年連続の減少となったものの、過去最高だった2008年からは3.3%下回るに過ぎない。こうした2千万人を超える納税者数への対応として国税庁は、確定申告の基本方針として「自書申告」を推進しており、そのためのIT(情報技術)を活用した施策に積極的に取り組んでいる。
  国税庁のホームページ上で申告書が作成できる「確定申告書等作成コーナー」やe-Taxなど、ITを利用した所得税の確定申告書の提出人員は全体で1,039万6千人にのぼり、2009年分より8.3%増加した。所得税の確定申告書の提出人員(2,315万人)に占める割合は44.9%にまで上昇している。2007年分からは税務署に訪れる納税者にも利用できるように、相談会場にパソコンを設置したことが、IT利用を促進させた。
  署でのIT利用は、署のパソコンで申告書を作成して「e-Tax」が457万5千人、同「書面での提出」が38万1千人の計495万7千人と前年度に比べ6.4%増。また、自宅などでのIT利用は、「HP作成コーナーで申告書を作成して書面での提出」が226万8千人、「同e-Tax」が57万人、「民間の会計ソフトで申告書を作成してe-Tax」が260万2千人の計544万人で同10.1%増となり、ともに順調に増加した。
●  確定申告提出者の3人に1人がe-Taxを利用
  一方、全国拡大後7回目の確定申告となるe-Tax(国税電子申告・納税システム)は、(1)最高5,000円の税額控除、(2)添付書類の提出省略、(3)書面提出に比べ還付金を早期還付、などのメリットを積極的に広報するなどの普及拡大に努めた結果、所得税の申告件数が、前年の707万9千件から774万7千件へと9.4%の増加となった。これは、所得税の確定申告書の提出人員の3人に1人がe-Taxを利用したことになる。
  このように、ITを活用した施策を推進する一方で、今年で8回目となる閉庁日における申告相談を2月20日と2月27日の日曜日に、228税務署を対象に、税務署のほか合同会場や広域センターにおいて実施。これらの会場における両日の相談件数は前年比0.2%増の18万4千件、申告書収受件数も4.2%増の27万6千件と、ともに増加はわずかだが、閉庁日対応の効果が十分にうかがえる結果となった。
参考資料:平成22年分所得税等の確定申告状況(国税庁)↓
http://www.nta.go.jp/kohyo/press/press/2010/kakutei_jokyo/index.htm


(浅野宗玄 税金ジャーナリスト、株式会社タックス・コム代表)

※タックス・コム発行図書 「中小企業のための生命保険講座(経営者編)」など
http://www.taxcom.co.jp/h22_seimeihokenkouza/index.html
2011.06.13
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