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労働、年金、医療、介護〜主な特別措置(2)
  前回の労働関連の特別措置に引き続き、今回は社会保険(年金、医療、介護)関連の主な特別措置をご紹介します。
<年金関連>
● 標準報酬改定の特例
  災害地域における事業所の厚生年金保険の標準報酬について、被災で事業が影響を受け、賃金に著しい変動があった場合、賃金に変動の生じた月から改定する。
● 厚生年金保険料等の免除の特例
  災害地域における事業所で、事業所の被保険者に対する賃金の支払いに著しい支障が生じている場合、厚生年金保険料が免除される。また、厚生年金保険料の免除が認められた事業所が、厚生年金基金の設立事業所だった場合は、基金に納める掛金のうち、免除保険料額(厚生年金の代行部分の掛金)の掛金が免除される。
● 遺族基礎年金等の支給事由の特例
  通常、震災等による行方不明者については、民法第30条2項により1年後に失踪宣告が行われるまでは死亡が確定しないため、その間は遺族基礎年金も受けられない。そこで、東日本大震災で行方不明となった人の生死が3ヵ月間わからない場合又は3ヵ月以内に死亡が確認できたものの死亡の時期がわからない場合は、同日に死亡したものとして支給する。なお、確定給付企業年金の遺族給付金、確定拠出年金の死亡一時金も同様の措置をとる。
● 老齢基礎年金等の裁定請求の特例
  60〜64歳から受けられる特別支給の老齢厚生年金の受給者が65歳になり、老齢基礎年金・老齢厚生年金を受けるには裁定請求が必要になる。被災区域に住む特別支給の老齢厚生年金の受給者が65歳に達した日に、老齢基礎年金・老齢厚生年金の裁定請求を行ったものとして、引き続き年金が支給される。
● 子ども手当(児童手当)拠出金の免除の特例
  保険者は、災害地域における子ども手当法により適用される場合の児童手当の事業主拠出金を免除することが出来るようにする。
<医療・介護関連>
● 標準報酬改定の特例
  災害地域における事業所の健康保険および船員保険の標準報酬について、被災で事業が影響を受け、賃金に著しい変動があった場合、賃金に変動の生じた月から改定する。
● 保険料や一部負担金等の免除の特例
  医療保険等の保険者が、被災した被保険者等の医療保険の保険料や一部負担金等の減免等を行う場合は、国が保険者の財政状況に応じ財政支援を行う。国は入院時食事療養費、保険外併用療養費、療養費および特別療養費に係る自己負担額についても立法措置を講じて、保険者が被災した被保険者等に免除を行った場合に、財政支援ができるようにする。
● 介護保険料や利用者負担の免除等の特例
  保険者等は、被災した被保険者について介護保険の保険料、利用者負担額や食費・居住費の自己負担額の減免等を行った場合に、国は財政支援ができるようにする。被災した介護保険被保険者は、利用者負担が免除される。また、介護保険施設等の食費・居住費が減免される。
参考:厚生労働省HP
(特定社会保険労務士 野上 幸彦)
2011.06.27
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