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「良性発作性頭位めまい症(BPPV)」告知における留意点
  「良性発作性頭位めまい症(BPPV;benign paroxysmal positional vertigo)」は、病名は難しそうですが、比較的予後良好な疾患です。女性の方が男性よりやや多く、好発年齢は50歳代です。起床、就寝、上向き(棚の上の物を取る)、下向き(洗髪)など、特定の頭位をとると、若干の時間がたってから回転性のめまいが生じます。数十秒で症状は減弱・消失しますが、少しでも頭の向きが変わると、まためまいが生じるので、身動きがとりづらくなります。
● 原因
  BPPVは、耳石器(卵形嚢)から何らかの原因で耳石が剥離し、有毛細胞に付着したり(クプラ結石説)、浮遊耳石がリンパ液内を浮遊するため(半規管結石説)にめまいが生じると考えられています。耳石脱落の原因としては、頭部外傷や他の内耳疾患、加齢による退行変性やホルモンの影響も関与しているといわれますが、半数以上は原因不明です。
● 診断基準
  厚生労働省と、日本めまい平衡医学会によるものがあります。
1.  ある特定の位置に頭を動かすことで、回転性めまいを起こす
2. 特定の頭の位置になってからめまいが始まるまで、数秒の時間差がある
3. めまいを繰り返すことで症状が軽快してくる
4. 耳鳴り、難聴などの耳症状がない
5. 手や顔のしびれ、頭痛、目の前が暗くなる等の中枢神経症状や頸部の異常がない
  頭位変換眼振検査が必須です。典型的な垂直回旋混合性眼振(がんしん)を認めれば、ほぼBPPVと確定します。聴力検査、温度眼振検査に異常がないことも確認します。CT検査やMRI検査では、めまいを引き起こすその他の疾患の鑑別をします。
● 鑑別疾患(似ているが違う病気)
・  中枢障害によるめまい(中枢性頭位めまい症)
・  椎骨脳底動脈循環不全
・  頸性めまい
・  メニエール病 等
● 治療
  剥離・移動した耳石が吸収されたり、排出されたり、元の場所に戻れば、症状が治まり自然経過で数週間で治癒する例が多いです。
・  頭位治療 頭部を動かす運動をして、半規管内に剥離・移動した耳石を、もともとあった場所(卵形嚢)へ戻す運動をします。
・  内服治療 難治性のものは、他の原因によるめまい治療と同様、抗めまい薬、抗不安薬、循環改善薬、吐き気止めを服用します。
● ご契約をいただく際には
  専門医による正確な診断が重要です。治療中という告知がある場合は、いったんはご加入を見合わせた方がよいかもしれません。「良性発作性頭位めまい症」という告知(正式病名がきちんと記載されている)があれば、専門医に診断を受けていることが考慮されるため、完治後3〜6カ月後であれば、死亡保険も医療保険も、加入が可能だと思われます。
(上田香十里 株式会社査定コンサルティング代表)
2011.07.04
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