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平成23年4月1日以後終了年度より、適用額明細書の添付が必要
● 租特透明化法の制定
  税金に関する法律には、国税通則法、法人税法ほか様々なものがあるが、その1つとして、租税特別措置法という法律がある。恒久的な取扱いについては、法人税法などのいわゆる“本法”に定められているが、時限措置などの特別な取扱いについては、租税特別措置法で定められることが多い。ただ、措置法の中には適用対象企業が非常に少ない優遇措置なども存在する。そこで、租税特別措置の適用実態を把握し、適用状況の透明化を図るため、平成22年3月31日に「租税特別措置の適用状況の透明化等に関する法律(以下租特透明化法)」が制定された。
● 法人税関係特別措置とは
  租特透明化法の制定により、平成23年4月1日以後に終了する事業年度から、法人税関係特別措置を適用する場合には、法人税申告書に「適用額明細書」を添付して提出することが義務付けられた。今後、法人税関係特別措置の適用を受ける場合には、この「適用額明細書」を忘れずに添付する必要がある。
  では、法人税関係特別措置とは具体的にどのようなものを指すのか。以下に対象となる主な特別措置の一部をご紹介する。
・  中小企業の法人税率の特例
・  試験研究費に係る特別控除
・  エネルギー需給構造改革推進設備等を取得した場合の特別控除
・  中小企業者等が機械等を取得した場合の特別控除
・  事業基盤強化設備等を取得した場合等の特別控除
・  受取配当等の益金不算入
・  特定の資産の買換えにより取得した資産の圧縮額等の損金算入
・  平成21年及び平成22年に先行取得をした土地等の圧縮額の損金算入
・  少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例
● 適用額明細書、実務上の注意点
  中小企業の法人税率の特例や少額減価償却資産の特例など、中小企業がよく使う特例が含まれているため、中小企業でもかなりの法人がこの適用額明細書を提出しなければならないものと思われる。
  実際に適用額明細書を記載するには、その対象となる特別措置の措置法条項、区分番号、適用額を記載し、別表一(一)等にも、「適用額明細書提出の有無」欄の「有」を○で囲んでおく必要がある。詳しくは、国税庁から提供されている「適用額明細書の記載の手引」をご確認頂きたい(適用額明細書の様式もダウンロード可能)。
  なお、法人税関係特別措置の適用を受ける場合に、この適用額明細書の添付がないと、特別措置そのものが適用できなくなってしまうため、十分に注意していただきたい。
(参考)租特透明化法の制定に伴う「適用額明細書の記載の手引き」(国税庁)
http://www.nta.go.jp/shiraberu/ippanjoho/pamph/hojin/tekiyougaku/pdf/all.pdf

(村田 直 マネーコンシェルジュ税理士法人)
2011.07.04
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