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鹿児島と福井で粒子線治療が先進医療として承認、治療を開始
●  指宿に九州初の粒子線治療施設
  最先端の治療装置を使って、体にメスを入れることなく、病巣に様々な方向から粒子線を照射する粒子線がん治療。ピンポイントの照射が可能なため、エックス線を用いる放射線治療に比べて周りの正常な細胞への影響が少ない。
  鹿児島県指宿市の「メディポリス医学研究財団がん粒子線治療研究センター」では、2011年1月より、陽子線によるがんの粒子線治療を行なっていたが、先進医療施設として認定され、4月から九州初の粒子線によるがんの先進医療施設として患者への粒子線治療が始まった。粒子線治療分の費用は、1治療につき 288万3,000円となっている。また同所では、「乳がん粒子線治療研究会」を発足させ、乳がんの粒子線治療実現に向けた取り組みをスタートさせている。
  粒子線施設は、今まで兵庫県立粒子線医療センターより西にはなく、九州のがん患者が粒子線治療を受ける際には遠方まで足を運ばなければならなかったが、がん粒子線治療研究センターの稼動により、九州各地のがん患者にとってがん治療の幅が広がった。
●  福井県でも陽子線治療が先進医療として承認
  「福井県立病院陽子線がん治療センター」においても、2011年3月より陽子線治療を行なっていたが、先進医療の届け出が受理され、6月1日からは先進医療として治療を開始した。治療費は240万〜260万円と国内の同種施設の中で最低レベルに抑えている。
  これにより、先進医療施設として陽子線がん治療を実施する医療機関は、千葉県「国立がん研究センター東病院」、静岡県「静岡県立静岡がんセンター」、茨城県「筑波大学附属病院」、福島県「脳神経疾患研究所附属南東北がん陽子線治療センター」、前出の鹿児島県「がん粒子線治療研究センター」、兵庫県「兵庫県立粒子線医療センター」と併せて7機関となった。
●  先進医療適用も、高額となる自己負担
  先進医療適用により、付随する診察や検査、入院に係る経費ついては公的医療保険が適用される。それでも300万円近い先進医療の技術料については全額患者の自己負担となるため、がん患者の経済的負担は大きい。
  鹿児島県では、粒子線治療を受ける患者本人やその家族等が治療費を金融機関から借り受けた場合に、利子の一部を助成する制度を2011年4月から開始した。福井県でも治療費・通院交通費の助成、治療資金の借入れ対する利子補給、「陽子線治療費以外」の診察料・検査料・投薬料・入院料等の減免など治療費の軽減制度を設けている。
  また、先進医療として承認されることにより、民間生命保険会社の先進医療特約の給付対象となる。経済的不安なく先進医療を受けるためには、医療保険やがん保険に先進医療特約を付加するなどで備えておくことが必要である。
2011.07.04
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