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2011年分路線価は3.1%のマイナスで3年連続下落
●  計算方法を改め基準地点の平均価格の公表は取り止め
  全国の国税局・税務署において7月1日、相続税や贈与税の土地等の課税評価額の基準となる2011年分の路線価及び評価倍率が公表された。
  今年1月1日時点の全国約36万地点における標準宅地の前年比の変動率の平均は3.1%下落し、実質的に3年連続の下落となった。しかし、再開発地域や大型ショッピングセンターを始めとする複合商業施設などでは上昇地点も現れるなど、下落幅は前年分(4.4%下落)と比べると1.3ポイント縮小しており、下げ止まり感が出ている。
  国税庁では、今年から路線価の計算方法を改め、これまで路線価の平均額を算出した上で前年との変動率を算出していたものを、国土交通省が公表している地価公示と同様に基準地点の前年との変動率を単純平均する方法を用いていることから、前年以前と単純比較ができないために基準地点の平均価格は公表されていない。
  つまり、この計算方法では2009年以前の平均値は算定されていないが、同庁では「実質的に3年連続の下落」としている。
●  最高路線価は東京・銀座中央通りが26年連続の全国トップ
  都道府県別の路線価をみると、すべての都道府県で下落した。下落率は、「東京」が2.0%(前年7.0%)、「大阪府」が3.4%(同6.1%)、「愛知県」が0.8%(同3.3%)など31都道府県で下落幅が縮小した。
  また、都道府県庁所在都市の最高路線価も、上昇した都市が前年の0から1(福岡)に、横ばいの都市は同2から3(名古屋、津、奈良)、下落した都市は同45から43となっており、不動産市況にはやや回復の兆しがみえている。
  都道府県庁所在都市の最高路線価では、1位は東京・中央区銀座5丁目の「銀座中央通り」で、1平方メートルあたりの路線価は▲5.2%(120万円)下落の2,200万円となったが、26年連続の全国トップ。以下、大阪・北区角田町の「御堂筋」680万円(下落率▲6.1%)、横浜市西区南幸1丁目の「横浜駅西口バスターミナル前通り」591万円(同▲2.2%)、名古屋市中村区名駅1丁目の「名駅通り」581万円(同0.0%)と続く。
●  被災地の路線価は「調整率」を導入、秋に公表予定
  一方、今回の路線価の公表では、東日本大震災の影響は加味しておらず、被災地については、被災の程度に応じて路線価を減額する「調整率」を導入し、今年10〜11月に国税庁ホームページで公開する予定となっている。調整率が導入されるのは阪神大震災以来2回目。調整率の対象地域は、東日本大震災により震災特例法で指定地域とされている青森、岩手、宮城、福島、茨城、栃木、千葉の各県全域と、新潟県十日町市・中魚沼郡津波町、長野県下水内郡栄村となる。
  なお、2008年分から路線価図等の冊子は作成されていないため、路線価は、自宅や会社のパソコンまたは全国の国税局・税務署に設置してあるパソコンから国税庁のホームページにアクセスして、インターネットで閲覧・プリントアウトすることになる。
(浅野宗玄 税金ジャーナリスト、株式会社タックス・コム代表)

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2011.07.11
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