>  今週のトピックス >  No.2269
非正規労働者の課題に取り組む労働組合が大幅に増加
●  労働組合活動実態調査の目的は、労働組合の実態を明らかにすること
  厚生労働省は、このほど「平成22年労働組合活動実態調査結果の概況」を取りまとめ、公表した。この「労働組合活動実態調査」は、労働環境が変化する中での労働組合の活動実態を明らかにすることを目的としている。
  対象は、民営事業所における労働組合員数規模100人以上の単位労働組合(下部組織がない労働組合)で、平成22年6月30日現在の状況について調査を行い、3,544労働組合のうち2,479労働組合から有効回答を得ており、有効回答率は69.9%となっている。調査は5年ごとの実施で、前回は平成17年に行っているが、前回の調査と比較して今回の調査では、非正規労働者の課題に取り組む労働組合が増加していることが読み取れた。
●  賃金制度・退職金制度の改定には、労働組合が関与している割合が高い
  賃金・退職給付制度の改定状況と、労働組合の関与状況について、細かくみてみると正規労働者については、61.6%の事業所で何かしらの賃金制度・退職給付制度の改定が実施されたが、その改定に当たって労働組合が関与した事項を割合が高い順にみると、「確定拠出年金制度や他の退職年金制度の導入、移行」91.0%、「退職給付算定方法の見直し」90.3%などとなっている。
  非正規労働者については、20.3%の事業所で何らかの賃金制度の改定や退職金制度の導入が実施された。改定に当たって労働組合が関与した事項を割合が高い順にみると、「昇給制度の導入」38.7%、「労働者の職務を遂行する能力に応じて賃金を決定するやり方(例:職能給など)の拡大」38.3%などとなっている。
  またその他非正規労働者に関する取組状況については、非正規労働者に関する取組が「あり」とする労働組合の割合は、パートタイム労働者、派遣労働者とも前回から大幅に増加しており、パートタイム労働者:47.1%(前回25.5%)、派遣労働者:23.9%(同 14.9%)となっている。
●  約7割の労働組合 「安全衛生委員会(衛生委員会含む)の調査審議へ参加」
  今回から新規項目として、「メンタルヘルスに関する取組状況」についても調査しているが、 労働組合のメンタルヘルスに関する取組についてみると、取組を行っている労働組合割合は73.5%となっている。それらの労働組合について取組事項(複数回答)をみると、「安全衛生委員会(衛生委員会も含む。)の調査審議への参加」69.8%、「労使協議機関、職場懇談会等での協議」65.4%、「組合機関誌、掲示板等での情報提供・啓発活動」55.7%などとなっている。
  また、企業規模別にみると、企業規模が大きいほどメンタルヘルスに関する取組を行っている労働組合割合が高くなっていることも明らかになった。
  今回の調査では、時代の変化とともに労働組合の役割や関与する内容も大きく変わってきていることが伺えるが、メンタルヘルス対策に関しては、各企業の担当部門だけでなく労働組合としてもさまざまな活動を今後も進めていくことが望ましいといえる。
参考      厚生労働省 平成22年労働組合活動実態調査結果の概況
http://www.mhlw.go.jp/toukei/list/18-22a.html
(庄司 英尚 株式会社アイウェーブ代表取締役、
庄司社会保険労務士事務所代表、社会保険労務士)
2011.07.19
前のページにもどる
ページトップへ