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雇用促進税制がスタート
●  基準雇用者数1人につき20万円の特別税額控除
  6月30日に施行された「現下の厳しい経済状況及び雇用情勢に対応して税制の整備を図るための所得税法の等の一部を改正する法律」において、雇用促進税制が創設され、スタートした。
  同制度では、青色申告法人が、2011年4月1日から2014年3月31日までの間に開始する各事業年度において、当期末の雇用者の数が前期末に比べ5人以上(中小企業者等は2人以上)及び10%以上増加しており、それが証明されるなど一定の場合に該当するときは、20万円に基準雇用者数を乗じて計算した金額の特別税額控除ができることとされた。ただし、当期の法人税額の10%(中小企業者等は20%)相当額が限度とされている。
  適用要件は、
   (1)  前期及び当期に事業主都合による離職者がいないこと
   (2)  基準雇用者数≧5人(中小企業者等については2人)
※基準雇用者数とは、「当期末の雇用者の数−前期末の雇用者の数」
   (3)  基準雇用者割合≧10%
※基準雇用者割合とは、「基準雇用者数/前期末の雇用者の数」
   (4)  給与等支給額≧比較給与等支給額
   (5)  雇用保険法第5条第1項規定の事業を行っていること
  で、このすべてを満たしていることが必要となる。
  なお、給与等支給額とは、当期の所得の金額の計算上損金の額に算入される給与等(雇用者に対して支給するものに限られる)の支給額をいう。比較給与等支給額とは、次の算式により計算した額をいう。「前期の給与等の支給額 +(前期の給与等の支給額×基準雇用者割合×30%)」。
  税額控除限度額の計算は、「税額控除限度額=基準雇用者数×20万円 (当期の法人税額の10%(中小企業者等については20%)相当額を限度)」となる。
●  適用には「雇用促進計画」が必要
  この制度の適用を受けるためには、公共職業安定所に雇用促進計画の提出を行い、都道府県労働局または公共職業安定所で上記適用要件の(1)から(3)までの要件について確認を受け、その際交付される雇用促進計画の達成状況を確認した旨を記載した書類の写しを確定申告書に添付する必要がある。
  この雇用促進計画は、2011年8月1日から公共職業安定所で提出の受付が開始される予定となっている。
  また、(1)設立(合併による設立を除く)の比を含む事業年度、(2)解散(合併による解散を除く)の日を含む事業年度、(3)清算中の各事業年度、については、この制度の適用がないこととされている。
  なお、この制度における雇用者とは、法人の使用人のうち雇用保険の一般被保険者であるものをいい、使用人から役員の特殊関係者及び使用人兼務役員は除かれる。役員の特殊関係者とは、(1)役員の親族、(2)役員と婚姻の届出はしていないが事実上婚姻関係と同様の事情にある者、(3)上記(1)(2)以外の者で役員から生計の支援を受けている者、(4)上記(2)(3)の者と生計を一にするこれらの親族、をいう。
(浅野宗玄 税金ジャーナリスト、株式会社タックス・コム代表)

※タックス・コム発行図書 「中小企業のための生命保険講座(経営者編)」など
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2011.07.19
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