>  今週のトピックス >  No.2272
仮決算による中間申告に制限
● 中間申告書の提出義務がある法人
  普通法人は、その事業年度が6ヵ月を超える場合には、その事業年度開始の日以後6ヵ月を経過した日から2ヵ月以内に、中間申告書を提出し、納税する必要がある。ただし、前事業年度の法人税額が20万円以下の場合や、設立事業年度については、中間申告する必要はない。
  なお、中間申告の方法には、前期実績に基づく予定申告と仮決算による中間申告がある。前者は、税務署から送付されてくる中間申告書に記載されている「納税額=前事業年度の確定法人税額×6/前事業年度の月数(1ヵ月未満の端数切上げ)」を納付する方法である。後者は、事業年度開始の日以後6ヵ月を一事業年度とみなして仮決算を行い、申告する方法である。
  どちらを選択するかは法人に委ねられるが、一般的に前期と同様の実績であれば前期実績に基づく予定申告を選ぶことが多い。前期に比し、当期の実績が著しく良くない場合には、資金繰りを悪化させないために仮決算を選ぶこともできる。また、前半の業績がいいケースであえて仮決算による中間申告書を提出して前期実績よりも多く納税し、確定申告書の提出により中間納税額の還付と還付加算金を受けるケースも見受けられる。
  なお、還付加算金とは、国税の納付遅延に対し延滞税がかされることとの均衡などから、本税分の還付金に対する一種の利息に当たるものである。還付加算金は年7.3%と特例基準金利(公定歩合+4%)のいずれか低い方で計算されるが、平成23年1月1日〜12月31日までは4.3%が適用される。一般の金融機関に比し、非常に高利回りとなっている。
● 今回の改正内容
  仮決算の中間申告については、仮決算をすることにより予定納税額を超える中間納付を行っているにもかかわらず、確定申告において還付金が生じ、還付加算金が支払われているケースについて問題視されており、今回、改正に至った。
  具体的に、仮決算による中間申告書は、(1)仮決算をした場合の中間申告書に記載すべき法人税額が前期基準額を超える場合、および(2)前期基準額が10万円以下の場合(前期基準額がない場合)には提出できないことになった。
  つまり、仮決算により計算した中間納税額が、前事業年度の確定法人税額の1/2を超えるような場合には、前期実績に基づく予定申告しかできなくなった。還付加算金を目的とした過大な中間申告に規制がなされたことになる。なお、本来の趣旨に合致する業績悪化などによる場合の仮決算による中間申告については、従前通りである。これは、平成23年4月1日以後に開始する事業年度について適用される。3月決算法人の場合、11月申告・納付の中間申告から適用される。
(今村 京子 マネーコンシェルジュ税理士法人)
2011.07.25
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