>  今週のトピックス >  No.2277
障害者を多数雇用する企業に対する税制優遇拡大へ
●  税制優遇制度の概要
  障害者を多数雇用する企業に対する税制優遇制度の拡充が2011年7月22日、厚生労働省より発表された。障害者を多数雇用する事業所で要件を満たすものが減価償却を行う場合、その事業年度またはその前5年以内に開始した各事業年度に取得・製作・建設した機械装置、工場用建物およびその附属施設並びに一定の車両運搬具について、普通償却限度額の24%の割増償却ができることになっているが、その対象となる事業主の範囲が拡大されて下記のとおりとなった。
   <税制優遇制度の対象となる事業主の要件>
   (1)  青色申告書を提出する事業主であること
   (2) 
平成26年3月31日までの期間内にはじまるいずれかの事業年度(※1)において以下のいずれかの要件を満たす事業主であること
@ 従業員に占める障害者数の割合が50%以上(※2)
A 雇用している障害者が20人以上(※2)であり、かつ、従業員に占める障害者数の割合が25%以上(※2)
   <今回の改正で新たに対象となった事業主>
    
B 法定雇用率1.8%を達成している事業主で、基準雇用障害者が20人以上(※3)であり、かつ、基準雇用障害者数に占める重度障害者数(※4)の割合が50%以上(※3)
   ※1  個人事業主の場合は平成26年12月31日までの各年
   ※2  短時間労働者を除く重度障害者は1人を2人としてカウント(ダブルカウント)、重度以外の障害者である短時間労働者は1人を0.5人としてカウント
   ※3  基準雇用障害者数とは、ダブルカウントなしの障害者数の合計をいい、重度障害者数の割合とは、基準雇用障害者数に占めるダブルカウントなしの重度障害者数の割合をいう。この場合、短時間労働者は1人を0.5人とカウントする。
   ※4  重度身体障害者、重度知的障害者及び精神障害者
●  まずは最寄りのハローワークで事業主要件を満たしていることの確認をすること
  今回の制度改定の理由は、就労のより困難な重度障害者の一層の雇用促進を図るために、割増償却制度を利用できる対象事業主の範囲を拡大した。今回の税制優遇を受けるための事務手続の流れとしては、まず最寄りのハローワークで事業主要件を満たしていることの確認を受けることが最初のスタートとなる。
  障害者雇用に関する話題といえば、平成22年7月1日から障害者雇用納付金制度が改正されたことにより、新たに常時雇用している労働者数が200人を超え300人以下の中小企業事業主も納付金の申告を行う対象となり、一部にプラスの効果が表れてきているという声もあるようだ。今回の税制優遇制度の拡充がどのくらいの効果を生み出すのかについては、今後注意深く見守っていきたいところである。

参考 厚生労働省:http://www.mhlw.go.jp/bunya/koyou/shougaisha/pdf/intro-yugusochi_01.pdf
(庄司 英尚 株式会社アイウェーブ代表取締役、
庄司社会保険労務士事務所代表、社会保険労務士)
2011.08.01
前のページにもどる
ページトップへ