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2010年度国税の滞納残高は12年連続で減少〜国税庁〜
●  新規発生滞納額はピーク時の4割以下に低下
  今年3月末時点での法人税や消費税など国税の滞納残高が、前年度に比べ5.0%減の1兆4,201億円となり、1999年度以降12年連続で減少したことが、国税庁がこのほど発表した2010年度租税滞納状況でわかった。
  新規発生滞納額は前年度に比べ8.6%減の6,836億円と減少し、整理済額は同5.8%減の7,591億円と減少したものの、新規発生滞納額を上回ったため、滞納残高も減少した。
  今年3月までの1年間(2010年度)に発生した新規滞納額は、引き続き減少傾向を維持し、7年連続で1兆円を下回るとともに、もっとも新規滞納発生額の多かった1992年度(1兆8,903億円)の約36%と4割以下まで低下した。
  また、2010年度の滞納発生割合(新期発生滞納額/徴収決定済額)は1.6%と前年度を0.2ポイント下回った。滞納発生割合は、2004年度以降、7年連続で2%を下回り、低い水準を維持している。
  この結果、滞納残高はピークの1998年度(2兆8,149億円)の約50%まで減少している。
●  税目別の新規発生滞納額では消費税が6年連続最多
  税目別にみると、消費税は、新規発生滞納額が前年度比9.2%減の3,398億円と2年連続で減少したが、税目別では6年連続で最多となっている。一方で、整理済額が3,561億円と上回ったため、滞納残高は3.7%減の4,256億円と、11年連続で減少した。
  法人税も、新規発生滞納額は同4.6%減の1,025億円と2年連続で減少し、整理済額が1,182億円と上回ったため、滞納残高も7.9%減の1,843億円と3年連続で減少した。
  そのほか、税目別の新規発生滞納額の前年度比では、源泉所得税が12.7%減、相続税が11.1%減と、ともに1割以上減少している。
●  厳正・的確な滞納処理の実施
  国税庁では、
(1)  新規滞納に関しては、全国の国税局(所)に設置している「集中電話催告センター室」での整理
(2)  処理の進展が図られない滞納案件については、差押債権取立訴訟や詐害行為取消訴訟といった国が原告となる訴訟を提起して整理
(3)  財産を隠ぺいして滞納処分を免れる案件については、国税徴収法の「滞納処分免脱罪」による告発で整理
  これらを行うことで、効果的・効率的に処理している。
  こうした新規滞納の未然防止、大口・悪質事案や処理困難事案を中心に厳正・的確な滞納整理を実施したことで、今年3月末時点での全税目合計の滞納残高は、前年度を5.0%下回る1兆4,201億円となり、12年連続で減少したわけだ。
  なお、滞納残高が1兆5千億円を下回ったのは、1990年度以来19年ぶりとなった2009年度に引き続き2年連続となった。
参考:http://www.nta.go.jp/kohyo/press/press/2011/sozei_taino/index.htm
(浅野宗玄、税金ジャーナリスト、株式会社タックス・コム代表)

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2011.08.08
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