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生命保険協会から「平成24年度税制改正に関する要望」が発表
● 平成24年度税制改正に関する要望
  7月11日に社団法人生命保険協会から、「平成24年度税制改正に関する要望」が発表された。それによると平成24年度税制改正に関する重点要望項目として次の2つが掲げられている。
  生命保険料控除制度について、平成22年度税制改正において法制化がなされた新制度を平成24年1月から着実に実施すること。
  遺族の生活資金確保のため、相互扶助の原理に基づいて支払われる死亡保険金の相続税非課税限度額について、現行限度額(「法定相続人数×500万円」)に「配偶者分500万円+未成年の被扶養法定相続人数×500万円」を加算すること。
また、税制の抜本的な改革等の中で、相続税制の見直しがなされた場合において、少なくとも現行の非課税措置における対象範囲および水準を維持すること。
● 要望理由として
  生命保険文化センターの調査(平成21年度「生命保険に関する全国実態調査」)によれば、30歳代から40歳代の世帯主が加入している平均普通死亡保険金額は3,000万円弱となっており、この金額は世帯主が現在の収入水準で準備することができ、かつ最低限必要であると考えられる遺族の生活資金額となっている。
  現行制度では、世帯主である夫が死亡し、妻・未成年の子2人が相続人の場合、「500万円×3人=1,500万円」の非課税限度額しかない。
  しかし、要望内容どおりに「配偶者分500万円」と「未成年者の被扶養法定相続人数×500万円」を加算した場合、「現行制度の非課税限度額1,500万円+配偶者分500万円+未成年者2人×500万円=3,000万円」が非課税限度額となり、平均普通死亡保険金額が3,000万円弱であるため、平均的なケースでは相続税の課税対象にはならない公算となる。
  また、死亡保険金の非課税限度額については、消費者物価指数が上昇しているにも関わらず、昭和63年度改正以降は調整がされていない状況でもあり、遺族の生活資金を保障する生命保険の加入目的に沿った要望となっている。
● 平成23年度税制改正大綱によると
  政治の混乱により未だ成立していないが、平成23年度税制改正大綱において、「死亡保険金の非課税措置」について、「相続人の生活安定」という制度趣旨の徹底の必要性や、他の金融商品との間の課税の中立性の確保の要請等を踏まえ、「500万円×法定相続人(未成年者・障害者・相続開始直前に被相続人と生計を一にしていた者に限る)」と縮小する改正案となっている。平成23年度税制改正案では、税収を確保するため、課税範囲を拡大していく流れが伺える。
  平成24年度税制改正については、現在各要望書が提出され議論されていくという段階であるが、相続税の基礎控除および税率構造の見直しを含め、今後の動向に注目していただきたい。
(今村 京子 マネーコンシェルジュ税理士法人)
2011.08.22
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