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中心性漿液性網膜脈絡炎[ちゅうしんせいしょうえきせいもうまくみゃくらくえん]」告知における留意点
● 中心性漿液性網膜脈絡炎とは
  働き盛りの中年男性にみられる病気で、多くは片目に起こります。神経網膜に酸素や栄養を与える働きのある「脈絡膜」から漏出した漿液が、網膜と脈絡膜の間に漏れ出します。特に黄斑部付近が水泡状に盛り上がるため、いろいろな眼の症状が生じます。
  通常は、外網膜血液関門という機能があるので漏出液がたまることはありませんが、過労やストレスで、この機能が局所的に破綻することが原因とも考えられています。大部分は数ヵ月で治癒します。
  ※ちなみに中心性滲出性(しんしゅつせい)網膜脈絡膜炎は、視力の予後は不良で自然治癒はありません。
● 症状
  大部分は片目に起きますが、時期を変えて左右に生じることがあります。両目に起きるのはまれです。主な症状は下記です。
   ・  軽度の視力低下
     ・  中心が見えにくい(中心暗点)
     ・  物が小さく見える(小視症)
     ・  変形してみえる(変視症)
     ・  色覚障害
     ・  遠視
● 鑑別疾患
   ・  中心性「滲出性[しんしゅつせい]」網膜脈絡膜炎(視力の予後は不良で自然治癒はない)
     ・  加齢黄斑変性症
     ・  網膜剥離
     ・  脈絡膜腫瘍
     ・  網膜色素上皮剥離ぶどう膜炎    など
● 治療
  まずは過労やストレスをさけ、生活習慣を改善することです。また、心身の安静も重要です。薬物療法や、レーザーによる手術での治療もあります。
     ・  薬物療法
循環改善剤のカルナクリンや、複合ビタミン剤等が使用されます。
     ・  レーザー光凝固
薬物療法でも水が引かない、再発を繰り返す場合など。
中心部から離れている時は、レーザー光線で熱を加えて漏出を止めます。
● 経過・予後
  発症後数週から数ヵ月で浮腫は吸収され、自然治癒もかなり多いのが特徴です。しかし、約30%に再発がみられ、繰り返すうちに視力回復が難しくなることもあります。失明のリスクは一般的には少ないようです。
● ご契約をいただく際には
  中心性漿液性網膜脈絡炎の大部分は数ヵ月で自然治癒しますが、再発することがあります。既往症あるいは現在症状のあるお客様から告知をいただく場合、下記について告知されることをおすすめします。
     ・  治療開始期、完治期
     ・  治療内容(手術の有無)
     ・  現在の矯正視力(障害がないか)
     ・  左右の別
     ・  再発の有無
  死亡保険については、現在症状がある場合は、視力の特別障害不担保等の条件付きでの加入となるでしょう。医療保険については、現在症状がある場合は部位不担保と視力の特別障害不担保等の条件付での加入となるでしょう。既往症については、完治してからの経過年数に応じて、左右の別、矯正視力の程度により、特別障害不担保等の条件付での加入となるでしょう。
(上田香十里 株式会社査定コンサルティング代表)
2011.08.29
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