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年次有給休暇の取得日数の平均値は8.1日、取得率は51.6%
●  年休取得を阻害している大きな理由の1つは、「職場の雰囲気」
  独立行政法人 労働政策研究・研修機構が実施した「年次有給休暇の取得に関する調査」結果(有効回答数2,071人)によると、正社員の年次有給休暇の取得日数の平均値は8.1日、年次有給休暇の平均値は51.6%となった。
  年次有給休暇の取得率については、厚生労働省「平成22年 就労条件総合調査」のデータを見ても今回の調査と大体同じような結果が出ており、近年の取得率は低水準のままである。
  年次有給休暇については、周囲に迷惑がかかることや後で多忙になること、職場の雰囲気が取得しづらいことなどを理由に、多くの労働者がその取得にためらいを感じている。
  年次有給休暇を取り残す理由(各項目の肯定割合の合計)は、「病気や急な用事のために残しておく必要がある」が64.6%で最多、次いで「休むと職場の他の人に迷惑をかける」(60.2%)、「仕事量が多すぎて休んでいる余裕がない」(52.7%)、「休みの間仕事を引き継いでくれる人がいない」(46.9%)、「職場の周囲の人が取らないので年休が取りにくい」(42.2%)、「上司がいい顔をしない」(33.3%)などとなっている。
●  年次有給休暇の計画的付与制度導入は、21.8%
  年次有給休暇の計画的付与制度が「導入されている」とする回答は21.8%、「導入されていない」が34.7%、「わからない」が42.2%。計画的付与制度が導入されていない人(「導入されていない」、「わからない」と回答した人)に対して計画的付与制度の導入希望を尋ねたところ、44.8%が導入を希望している。これを年休取得日数別にみると、おおむね取得日数が少なくなるほど導入希望割合は高まる傾向にある。
  勤務先での年休取得率や年金取得日数などの目標設定については、「あり」は23.7%だった。企業が目標を設定することについては、81.9%が「希望」している。
  一方、3年前と比べて、年次有給休暇が取りやすくなった人の理由には、「年休が取りやすい職場の雰囲気になった」が42.8%で最多、次いで「自分で積極的に取得するように心がけた」(41.5%)、「上司などから年休取得への積極的な働きかけ」(30.6%)などが挙げられた。
●  年次有給休暇取得率をアップさせるためには、明確な目標設定が鍵に
  年次有給休暇取得を阻害している要因は、基本的にはほとんどが職場の雰囲気や仕事量など、勤め先によるものである。企業側は、このような改善できるものに対しては、積極的に取り組んでいかなければならず、啓蒙活動にとどまることなく具体的な行動で成果を出さなければならないといえる。
  いずれにしても企業全体として年休取得率をアップさせるためには、明確な目標を設定し、その目標の達成のために労使ともに努力することが大切である。
  また状況によっては必要な制度の導入を検討しなければならないことも考えられる。
  代表的なものとして年次有給休暇の計画的付与制度などがあるが、基本的な法律の知識から運用面でのメリット・デメリットも理解し、職場において運用可能かどうかを慎重に判断してから意思決定するのが望ましいといえる。
参考:独立行政法人 労働政策研究・研修機構「年次有給休暇の取得に関する調査」
http://www.jil.go.jp/institute/research/2011/085.htm
(庄司 英尚 株式会社アイウェーブ代表取締役、
庄司社会保険労務士事務所代表、社会保険労務士)
2011.08.29
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