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平成21年相続税の納付額は1兆1,632億円
〜「第135回 国税庁統計年報 平成21年度版」より〜
●  最近の相続税の納付税額は、平成19年から2年連続で減少
  国税庁が例年発表する「統計年報」の平成21年度版によると、平成21年度の相続税納付税額は1兆1,632億円、平成19年度(1兆2,666億円)をピークに2年連続で減少している。平成20年度(1兆2,517億円)で対前年比マイナス1.2%(約150億円の減少)、さらに平成21年度では対前年比マイナス7.1%(約885億円の減少)と減少幅も対前年で大きくなっている。
  一方、相続税の納付対象となった相続の被相続人数は46,439人で、平成20年度と比較して1,577人の減少、ここ最近の増加傾向が平成21年度については減少に転じているが、相続税の納付を伴う相続の発生率(対象の披相続人数を同年の死亡数で除して算出)は4.1%と、最近の傾向との差異は見られない。
  被相続人一人当たりの納付税額は単純平均で約2,500万円程度で、こちらも平成19年度(約2,700万円)、平成20年度(約2,600万円)と連続して低下の傾向が見られる。課税価格帯の分布をみると、1億円超から2億円以下の階級が被相続人ベースで約22,000人、全体の46.9%と飛び抜けて多い。
●  相続財産の種別では不動産が依然として高い占率
  相続財産の種類別内訳をみると、やはり不動産の構成比率が高く(約55%)、そのほとんどが土地(占率が約49.7%)となっている。一方、金融資産の比率は約34%、うち現金・預貯金が約22%、有価証券が約12%の構成比率で、相続財産全体の構成に大きな変動はなく一定した傾向が見られる。
  土地をはじめとする不動産の相続が多いため、現金による一括納税が原則である相続税納税の資金対策が重要であることに変わりはなく、遺産分割の場面においても、不動産は分割困難な財産のため、円満な解決を実現できるように対策を行うことも引続き重要な取組みとなっている。
●  相続税制度の今後の行方について
  平成22年度からは、小規模宅地等の評価減の特例についてその適用方法が改正されており、その影響が平成22年度の統計において明らかになることも予想され、大いに注目される。
  また、平成23年度税制改正大綱において、基礎控除額の縮小等の大きな改正がうたわれていたが、現時点では今年度の税制改正法案が未成立のままであり、それらの改正内容は継続審議となっている。
  来年度の税制改正でどのように取り扱われるのか、現時点では不明であるが今後の議論の推移に注目していきたい。
参考:国税庁「第135回 国税庁統計年報 平成21年度版」
http://www.nta.go.jp/kohyo/tokei/kokuzeicho/h21/h21.pdf
2011.08.29
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