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障害年金(精神の障害)〜認定基準が一部改正〜
  厚生労働省は、障害年金の障害認定基準(精神の障害)について、改正通知を発出した。
  「知的障害」の状態像をより具体的に例示し、新たに「発達障害」の規程を追加。改正は9月1日から実施される。
● 就労が減額・支給停止に直結する現状を是正
  今回実施される障害認定基準の改正では、新しい医学的知見を取り入れ、知的障害について基準の明確化が図られた。これまで「一部例示」の1級および2級には、日常生活への援助の程度のみ示されていたが、会話による意思疎通の状態も付け加える等、より具体的な表現に見直された。
  就労についても、就労したことで直ちに日常生活能力が向上したものと捉えずに、療養状況や仕事内容等を充分に確認したうえで日常生活能力を判断するよう、新たに認定要領に明記された。
● 発達障害の認定基準を新たに規定
  発達障害とは、自閉症、アスペルガー症候群、注意欠陥多動性障害などの脳機能の障害で、低年齢で症状が発現するもののことである。
  知能指数が高くても、社会行動やコミュニケーション能力の障害により、対人関係や意思疎通を円滑に行うことができないために日常生活に著しい制限を受ける。近年増加しているこうした障害はこれまで認定基準になかったが、精神の障害の新たな区分として今回規定された。
  なお、低年齢で発症した後、20歳以降に初めて受診した場合には、その受診日を初診日とする。
  また、発達障害の状態をより的確に伝えるため、障害の程度や状態の一部例示に加え、具体的な認定事例が変更後の診断書様式の記載例に示される。
● 診断書様式も変更
  今回の見直しで、知的障害と発達障害の病状・状態像がより確認しやすくなったほか、日常生活状況欄についても一部、精神障害と知的障害を分けるなど、それぞれの障害ごとに確認・判断しやすいよう配慮されている。
  なお、様式変更後、当分のあいだは従前の診断書も使用可能である。

参考:厚生労働省 年発0630第1号 http://wwwhourei.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/T110704T0010.pdf
(特定社会保険労務士 野上 幸彦)
2011.09.05
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