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非正社員の割合、過去最高の38.7%に
● 多様な就業形態の実態を把握するのに最適の調査
  厚生労働省では、このほど、平成22年「就業形態の多様化に関する総合実態調査」の結果を取りまとめ発表した。
  この調査は、多様な就業形態の実態を明らかにすることを目的に、事業所規模5人以上の民営事業所約17,000ヵ所と、そこで働く労働者約51,000人を対象として、平成22年10月1日現在の状況について調査を実施したもので、前回は平成19年に実施しており3年ぶりの調査となった。
  調査結果の中で注目すべき点は、民間企業で働く派遣やパートといった「非正社員」の割合は38.7%となり、3年前の前回調査を0.9ポイント上回り、1987年の調査開始以来の最高を更新したことである。非正社員の割合が増加する中で、企業側と従業員側の希望及び実態について細かく調査されているこの調査内容は、政府の雇用政策などにも大いに活用されることになると思われる。
● 派遣社員の労働者の割合が低下するも、契約社員、嘱託社員の割合は上昇
  就業形態別に労働者の割合をみていくと正社員は、61.3%(前回62.2%)、正社員以外の労働者が38.7%(前回37.8%)となっている。
  さらに細かくみていくと、正社員以外の労働者ではパートタイム労働者が22.9%(前回22.5%)、契約社員が3.5%(前回2.8%)、派遣労働者が3.0%(前回4.7%)となっており、前回調査と比較してみると、派遣労働者の割合が低下する一方、契約社員や嘱託社員の割合は上昇している。派遣社員については、2008年秋のリーマンショック以降の「派遣切り」の影響によるものが大きいと思われる。
  男女別でみると、男性は正社員が75.3%(前回76.0%)、パートタイム労働者が10.3%(前回10.2%)、嘱託社員3.2%(前回2.3%)、契約社員3.1%(前回2.3%)などとなっているのに対し、女性では正社員が41.9%(前回42.6%)、パートタイム労働者が40.5%(前回40.0%)、契約社員が4.0%(前回3.6%)、派遣労働者が4.0%(前回5.8%)などと正社員とパートタイム労働者の割合がほぼ同じとなっている。
● 派遣社員の今後の働き方に関する希望は「正社員に変わりたい」50.9%
  正社員以外の労働者(出向社員を除く)に現在の就業形態を選んだ理由(複数回答3つまで)を聞いたところ、「自分の都合のよい時間に働けるから」が38.8%(前回42.0%)、「家計の補助、学費等を得たいから」が33.2%(前回34.8%)、「通勤時間が短いから」が25.2%(前回23.2%)、「家庭の事情(家事・育児・介護等)や他の活動(趣味・学習等)と両立しやすいから」が24.5%(前回25.3%)などとなっている。
  しかしながら、派遣労働者に限ってみると「正社員として働ける会社がなかった」との回答が44.9%と最も多く、前回の37.3%から上昇したことは、近年の雇用状況を象徴しているといえる。
  今後の働き方に関する希望について、「現在の就業形態を続けたい」は、パートタイム労働者は78.1%と高い割合となっている。一方で派遣労働者は、「正社員に変わりたい」が50.9%で、「現在の就業形態を続けたい」が41.0%となっている。

参考 厚生労働省 平成22年就業形態の多様化に関する総合実態調査(2010年)
http://www.mhlw.go.jp/toukei/list/5-22.html
(庄司 英尚 株式会社アイウェーブ代表取締役、
庄司社会保険労務士事務所代表、社会保険労務士)
2011.09.12
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