>  今週のトピックス >  No.2309
上司は年下でも「やりづらさは感じない」」約8割
● 労働人口減少時代に高齢者の労働力を確保する方法
  学校法人産業能率大学では、60歳以上の正規従業員・契約社員等(アルバイト除く)に対して働く意識を調査した。この調査は、平成23年3月23日から26日までの4日間、インターネット調査会社を通じて実施し、438人から回答を得てまとめている。
  今後、労働人口の減少が見込まれるなかにあって、高年齢層の社員の「活用」は企業にとって労働力を確保するためにも非常に重要なテーマであり、現場の声を知ることができるこのような調査結果をふまえて企業側も実践にいかしたいところである。
● 「上司は年下」が75.4%
  非管理職を対象にして、上司の年齢が年下か年上かを尋ねたところ、「年下上司」が大半を占め75.4%であった。上司は年下と答えた層に対して、「やりづらさ」を感じるか尋ねた結果、8割はやりづらさを感じないと回答している。
  やりづらさを感じると答えた2割に、どのように接してほしいかを自由回答で尋ねた質問では「普通に接してほしい」「気を使いすぎ」「あまり意識しないでほしい」などの回答があった。
  一方、「言葉遣いには気をつけてほしい」「あまり“上から目線”で話さないでほしい」といった声もみられ、年下上司もこのような回答は大変参考になるのではないだろうか。
  年下の上司になっても組織の構造上、何ら気にしない人が多いようであるが、人としてのマナーや気遣いなど最低限の注意を払うことは、忘れてはならない。
● 「ノウハウや技能、知識を社内で伝承できていない」約4割
  これまでに働いてきたなかで得たノウハウや技能、知識を社内で伝承できているかを尋ねたところ、「伝承できている」が6割強に達する一方、4割弱は「伝承できていない」と回答している。
  伝承できていない理由は、「伝承する相手がいなかった」「伝承することを求められなかった」が高い結果であった。
  「伝承できている」とした理由では、「自然と技能・知識を教えあう風土があった」「意図して技能を伝承してきたため」が4割を超えている。シニア層の埋もれた技能・知識、ノウハウをしっかりと伝承できるような仕組みを意図的につくりだしていくことが不可欠だと考えられる。
  課題としてあげられている技術や知識の伝承について、これまで政府をはじめ各企業も対策にはかなり力を入れてきていると思われているが、まだ4割弱の人が「伝承できていない」と回答している。このことを考えるとかなり深刻な事態であることは確かであり、今後計画を見直す必要がある企業もあるのではないだろうか。
参考  学校法人産業能率大学「60歳以上のビジネスパーソン対象 仕事に対する意識調査」
http://www.sanno.ac.jp/research/pdf/senior2011.pdf
(庄司 英尚 株式会社アイウェーブ代表取締役、
庄司社会保険労務士事務所代表、社会保険労務士)
2011.10.03
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