>  今週のトピックス >  No.2310
がん情報不足感調査(がん情報の入手・利用に関する実態調査)
  日本最大級の病院検索・医薬品検索・医療情報サイトを運営する総合医療メディア会社の株式会社QLife(キューライフ)は、「がん情報の不足感」実態調査(調査名=『がん情報の入手・利用に関する実態調査』)の結果を発表した。
  これは、厚生労働科学研究班『国民のがん情報不足感の解消に向けた「患者視点情報」のデータベース構築とその活用・影響に関する研究』の一環として、昨年に実施されたもの。インターネット経由で広く協力を募り、がん関与度(経験度)を「本人(患者本人)」「家族(5年内に家族に「がん患者」がいる、もしくは「いた経験」がある)」「親戚友人恋人(5年以内に、近親者に「がん患者」がいる、もしくは「いた経験」がある)」「5年超(5年以内ではないが、近親者にがん患者が「いた経験」がある)」「経験なし(がんとは全く関係なし)」の5つに分類、計6,560人から回答を得た。
●  がん関与度によって異なる
  がん情報を入手する情報源としては、全体では「テレビ(71.9%)」「インターネット(59.2%)」「医師(51.9%)」「新聞(51.5%)」の順であるが、本人では「医師(96.8%)」「インターネット(70.3%)」「テレビ(45.8%)」「新聞(41.5%)」、家族では「医師(76.5%)」「インターネット(72.5%)」「テレビ(60.7%)」「家族(44.9%)」の順となっている。
  同様に一番役立つ「情報源」として、全体では「医師(25.1%)」「テレビ(22.9%)」「インターネット(20.5%)」の順であるが、本人では「医師(57.8%)」「インターネット(22.4%)」「書籍(6.1%)」、家族では「医師(37.3%)」「インターネット(30.2%)」「テレビ(9.3%)」の順となっている。
  また、一番役立つ「情報源」として、「その他」と回答した人の具体的内容に、「生命保険の資料・外交員」が多くを占めており、費用・経済面の情報ニーズの高さがうかがえる。
●  「女の方が」「若い方が」「本人より家族の方が」、がん情報が不足
  がんに関する情報不足経験では、全体の36.4%が「ある」とし、男女別では男性33.5%に対し女性40.8%と女性のほうが、年代別では30代35.0%、40代38.4%、50代38.8%に対し、60代34.8%、70代35.1%と高齢より若年層の不足経験割合が高くなっている。一般的に情報検索・情報媒体利用のスキルも体力も高いと思われる若い層の方が、情報不足に苦しんでいる。
  がん関与度では、がん患者本人は情報不足を感じていない人の方が多く(ある40.9%、ない59.0%)、逆に家族は情報不足を訴える人が多かった(ある49.1%、ない50.9%)。内訳としては、本人では診断直後と通院期間中、家族では入院期間中と通院期間中に情報不足を感じる割合が高い。
  不足情報の中身はどの関与度層の人でも、「医師」「治療方法」「費用」「病院」に関する情報が最も不足しており、その次に不足している情報は関与度により異なり、本人では「手術後/副作用など、副次的な内容」が多く、家族では「家族に関する内容」が多い。
  治療法などが多様化し、医師だけでなく患者側にも意思決定が求められるようになったがん治療であるが、多様な選択肢のなかで患者や家族が「決める」のは簡単ではない。命のリスクという大きなストレスを背負いながら、人生観や家族関係、そして時間・費用・医療資源の現実をふまえて、ベストな判断をしていくためには、上記の結果を分析し、患者本人や家族にとって必要とされる情報を拡充することが大切となる。
参考:株式会社QLife(キューライフ)
http://www.qlife.jp/cancer/anguish/a_research/story2981.html
http://www.qlife.co.jp/news/110921qlife_research.pdf
2011.10.03
前のページにもどる
ページトップへ