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値下がりした投資信託
  世界的な株式の値下がり、急激な為替円高、欧州不安などで投資信託の基準価額が値下がりして、損失を被っている投資家が多いようだ。いくつかの金融機関で購入している方は、どこに相談すればよいか困っているのではないだろうか。保有している投資信託を今後どのように保有すればよいのかポイントを絞ってみてみよう。
1. 時価評価額の確認
     現在、自分が保有している投資信託がどのような状況になっているか把握する。 投資信託や株式が値下がりしていると、つい目を覆ってしまいたくなるが、購入先の金融機関に問い合わせをして現状を把握することが重要となるので、購入額と時価評価額を必ず確認しよう。
2. 投資信託の投資先を再確認する
     投資信託の投資先がどのようなものなのか、日本株、日本債券、外国株式、外国債券、不動産REITなのかを分析する。投資先が外国債券の場合は、先進国または新興国の債券なのかも分析しよう。また発行体の信用力を記号で表した「格付け」もチェックしよう。
3. 投資信託の値下がりの原因を追究する
     どのような要因で値下がりしているのかを追及することも重要である。
例えば外国債券を組み入れている場合、為替で値下がりしているのか、債券価格が急落して値下がりしているのかも確認する。投資している債券の「信用リスク」、いわゆる債券に投資した元金や利息が、発行時の条件どおりに返済されないリスクが高くなっている可能性も考えられるので注意が必要である。
4. 自分のリスク度合いを再確認する
     今後、保有している投資信託の価格が上昇するか、値下がりするかが不透明な場合には、どのくらい値下がりしても許容できるかを確認する。投資資金が、余裕資金なのか、生活資金なのかでは投資商品も大きく変わってくるため、資金の使途によっては早急に売却することも必要である。
5. ポートフォリオの見直し
     自分の経済状態が大きく変化したときや世界経済が大きく変化した場合にはポートフォリオを見直すことが必要となる。投資信託が大きく値上がりしたとき、また大きく値下がりしたときに見直すと効果的といわれている。今こそ、自分の保有している投資信託を見直す時期ではないだろうか。
6. 最後に
     上記の1〜5の手順で分析し、投資信託を保有し続けるのか、売却または買い増しするかの判断をする。
売却する場合、「タイミングを見て」「少し戻ったら」などの声もよく耳にするが、自分ではなかなか判断しづらい部分もあるので、売却すると決めたら、心を鬼にして機械的に売却することをおすすめする。「購入するときは少しずつ、売却は思い切って」を実行することが、キズを広げないことに繋がることも肝に銘じて投資したいものである。
  
伊田 賢一(いだ・けんいち)
株式会社FPウィム代表取締役、株式会社 WINKS 代表取締役
CFP®認定者、一級ファイナンシャル・プランニング技能士
証券会社3社に勤務の後、2002年に独立系FPとして活動開始。独立系FP会社役員を経て、2007年に相談業務を中心としたFP会社として株式会社FPウィムを設立。2010年には多角的なFPサービスの提供を目的とした株式会社WINKSを設立。さいたま朝日「家計の知っ得」、ホケモン「保険の基礎知識」ほか多数媒体にて連載執筆中。著書に『うかる!FP技能士2級』『うかる!FP技能士3級』『うかる!証券外務員2種』などがある。NPO法人日本FP協会 埼玉支部副支部長、マネーカフェさいたま代表、埼玉県金融広報委員会アドバイザー。
http://fpwim.com/
  
2011.10.11
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